研究課題
現行の太陽電池の9割以上を占めるシリコン太陽電池(結晶系及び薄膜系)の原料は、シリカ(二酸化シリコン、SiO2)である。一般に還元反応には、炭素・水素などの還元剤を用いる方法や電気分解法などがあるが、電気分解は大量の電力消費を伴うため、低コストプロセスには炭素が還元剤として用いられる。しかしながら、二酸化ケイ素の熱炭素還元は一酸化珪素や炭化ケイ素を介して、生成されることが知られており、複雑な副生成物の制御が重要である。特に反応プロセスの終段であるSiOとSiCの反応は、生成物である液相のシリコンを介在して反応すると考えられるため、シリコン液相における炭素の固溶限界が律速になっていると考えられる。何故なら、排出される一酸化炭素の炭素源は固相である炭化ケイ素から、また酸素源は、気相である一酸化珪素から供給されるため、必ずシリコン液中を通過する必要があるからである。熱力学的な相図を計算すると、一酸化ケイ素ガスは、1200℃程度から発生するが、一酸化ケイ素ガスの分圧を上げる必要があるため、炭素るつぼで耐えられる範囲でできるだけ一酸化ケイ素ガスが逃げないようなるつぼ構造を決定して用いた。顕現する温度としては、るつぼ外壁温度が2000℃程度のなる条件を設定して炭素熱還元を行った。相図を用いた試算から、シリコンにおける炭素の固溶限界は非常に小さく、そのため、一酸化ケイ素ガスの損失が大きくなっていることがわかってきた。ニッケルなどの金属を入れることで炭素の固溶限界は大きく広がることが試算された。フラックスの最適化のために、昨年度のニッケルフラックスに対して、今回は、ニッケルシリサイドを2重量パーセント入れたプロセスでも、生成物中のシリコンが大きく増加することがわかってきてきた。
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Physical Review B
巻: 105 ページ: 085131
10.1103/PhysRevB.105.085131