電磁力を印加しながら凝固したAl-10Fe合金およびAl-25Si合金における初晶の電磁分離現象を調べた。各合金とも所定の条件下において,初晶は電磁力により試料表層部全域に偏析した。しかし電磁力は,溶湯中に晶出している初晶に作用しないことが明らかとなった。初晶が試料表層部に偏析すると,それを含まない試料中央部は過冷凝固組織の様相を呈し,樹枝状の初晶Alを含む微細共晶組織となった。Al-Si合金では,溶湯に電流を流すだけで以上と同様の効果が得られた。新奇な電磁分離現象は,電気・磁気的な作用が結晶の核生成および成長に影響を及ぼすために生じたと考えられる。
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