研究課題
Al-20wt%Sn合金にて、磁場強度1T、電磁振動電流300Aにて振動周波数の影響を調査した結果、電磁振動を印加せずに作製した試料の引張試験時の伸びは13.8%であったのに対し、100Hzにて作製した試料の伸びは22.4%となり一番良い結果となった。非常に良い伸びを示した100Hzの電磁振動を印加した試料においてはSn相が孤立微細分散していることが判明した。そこで、超電導マグネットを用いて電磁振動の影響を調査した。その結果、10Tにて電磁振動電流を60Aに固定、振動周波数を変化させた場合、1000Hzにおいて最もAl結晶粒が微細球状化した。この時、Al結晶粒内に存在するSn相は孤立分散していたが、Al結晶粒界に存在するSn相が多く存在し、Al結晶粒を孤立分断化していた。このような組織では良い伸びは期待できない。そこで、10T超電導マグネットを用いた装置を用いて、低磁場における電磁振動の影響を調査した。その結果、磁場強度1T、電磁振動電流60Aにて周波数を変化させた場合、最初に得られた結果と同じ100HzにおいてSnの孤立微細分散が確認された。これらの結果より、Snの孤立微細分散は、これまで我々が実験を行ってきた結晶粒微細化と全く異なる条件にて起こる現象であることが判明した。結晶粒微細化は非常に強い電磁振動力が必要であるが、その10分の1の力にてSnの孤立微細分散は起こることが判明した。結晶粒微細化の場合、振動エネルギーが重要であることがこれまでの研究で分かっているが、Snの孤立微細分散の場合は振動エネルギーではなく、晶出したAlデンドライト間のSn濃縮層を電磁振動流により消失させることによりSn層が薄くなり、その後の熱により孤立微細分散することが判明した。
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Materials Science and Engineering: A
巻: 862 ページ: 144416~144416
10.1016/j.msea.2022.144416