環境と食料生産の両立を目指すために、肥料の供給を抑制する必要がある。しかし、肥料の散布方法の高度化に関する研究は不足しており、投入量の最適化や散布効率向上についての研究が遅れている。本研究では、肥料を微粒化し、ナノメーターとマイクロメーター・スケールの帯電液滴をキャリアとして使用することで、肥料が植物に選択的に沈着される散布システムの開発を目的とした。このシステムは高い選択性と沈着力を持ち、植物の成長を促進しつつ吸収されない肥料成分を最小化する食料生産体系の構築を目指していた。 成果1(主): 植物成長チャンバーを設計・作成して、それを使ってサブミクロン粒子の植物への沈着について詳細に調査した。具体的には、以下のポイントに焦点を当てた。この時に、炭素系(すす)粒子と一緒に水溶性粒子も使用した。1)散布方法の評価: 超音波と静電気力を利用した2つの散布方法を実験的に評価し、サブミクロン粒子の浮遊と植物への沈着を実現した。特に、葉面へのサブミクロン粒子の沈着速度を詳細に調査した。2)チャンバー内流れの予測: 流れの状態を数値計算によって予測し、最適な運転条件を示した。これにより、散布システムの効率向上に寄与した。 成果2(副産物): 帯電液滴を使用した新しい光熱材料の提案を行った。すす粒子を光熱材料として活用し、ポリマー繊維膜に埋め込む手法を開発しました。この膜は熱の局在化を向上させ、太陽蒸留において水蒸留と淡水化の効率を高めることができる。 成果3(副産物): 近赤外線2波長を使用したスペクトルドメイン光コヒーレンストモグラフィ(SD-OCT)システムを開発した。このシステムは生物組織内の水のダイナミクスを定量的に測定するために使用され、蒸発過程の水の挙動を視覚化した。SD-OCTは新たな自然現象の観察と分析に有用なツールとなった。
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