研究課題/領域番号 |
20K05190
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研究機関 | 名城大学 |
研究代表者 |
片桐 誠之 名城大学, 理工学部, 准教授 (00345919)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 汚泥 / 圧搾脱水 / 固形燃料化 / 破砕操作 / 超高圧圧搾 / フロック崩壊 / 微生物細胞 / 超音波 |
研究実績の概要 |
産業廃棄物の中で最も大きな排出量割合を占める汚泥は、省エネルギー的な操作で高度に脱水することができれば、固形燃料としての利用の可能性がある。本研究では、破砕操作と超高圧圧搾とを融合させた脱水技術を提案し、難脱水性汚泥の高速減量化を試みる。汚泥を凝集させて粗大フロックを形成させ、0.1~0.5 MPa程度の圧力で濾過して自由水を迅速に除去した後、破砕操作により汚泥フロックを崩壊させるとともに微生物細胞表面に亀裂を生じさせ、さらに圧力のステップ増加により5~20 MPa程度の超高圧を作用させて高速で束縛水を除去し、自燃可能な極低含水率ケークを得る。破砕操作として、超音波の照射、高浸透圧水の透過等を検討し、破砕操作と超高圧圧搾の機構の解明に基づき、それらの複合プロセスの最適操作のための指針を得る。 昨年度に引き続いて、超音波による汚泥ケークの破砕を試み、その後の圧搾操作による脱水特性との関係を明らかにした。汚泥の濾過ケークに超音波を照射する手法では、圧搾脱水後の含水率が低く脱水度の向上を図ることが可能であったが、脱水速度への効果はほとんどなく、操作法の更なる検討が必要な状況である。一方、汚泥の超音波破砕と塩添加凝集を組み合わせた手法では、フロック密度が大きく、圧力作用時には細胞内水分が排出されるといった特徴的な汚泥フロックが得られ、脱水度・脱水速度ともに顕著な効果が認められた。また、高浸透圧液に汚泥ケークを浸す浸透圧脱水法を開発し、下水処理場から排出された余剰汚泥に対しても効果があることを確認した。浸透圧脱水で22 MPa程度の超高圧を作用させた場合、数分程度の処理時間で含水率を60%まで減少させることができた。低含水率の活性汚泥の脱水ケークは自燃するものと推察され固形燃料としての利用の可能性が期待できる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の研究成果により、汚泥ケークの破砕法、破砕・凝集汚泥の脱水特性について有用な知見が得られるとともに、浸透圧を利用した超高圧圧搾の有効性が確認された。研究実施計画からの遅れはほとんどなく順調に成果が得られつつある。
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今後の研究の推進方策 |
順調に成果が得られているので、当初の計画に従って、引き続き汚泥ケークの破砕と超高圧圧搾について検討を進め、要素技術の融合プロセスとしての最適操作法の確立へと繋げる。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は当初の計画通りに予算を使用したが、初年度における未使用分が次年度使用額となった。主な理由としては、コロナ禍で参加予定の学会が中止あるいはオンライン開催となったため旅費を使用しなかった。 次年度は、要素技術を融合した汚泥脱水プロセスを構築する予定である。脱水効果の確認のため一連の操作を頻繁に行うこととなり、その際に必要となる試薬や濾材などの消耗品に未使用分をあてる。また、研究成果を広く公表するため、学会等での研究発表を積極的に計画する。
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