本研究では微粉体層の振動場におけるガス流動化状態をより正確に予測もしくは評価する手法を構築することを目的の一つに挙げている。本年度では画像解析による粉体層のフローパターンの数値化による指標化と粉体層のガス透過時の圧力損失および平均空隙率の関係との対応関係を併せ,振動場とガス流れ場の併用による微粉体の流動化機構について検討した。 デジタルビデオカメラ等による挙動観察では,ガス通気量が小さい範囲ではおおむねガスチャネルが常在化する静的なフローパターンが得られたが,振動振幅の増加と共に徐々に連続的にガスチャネルが破壊再生する動的な流動状態に遷移することがわかった。このことは,画像解析による輝度値の標準偏差の時間変動特性からも十分に探索することが可能であることが確認できた。また,振動振幅が大きくなることで凝集体の破壊が進行する一方で,粉体層全体の振動伝播由来の圧密が同時に進行し,粉体層の流動化状態の活性化は静的なフローパターンに遷移することが可視化による観察結果から得られた。この結果は過去の研究代表者により部分的に見出された結果を再現しており,今回の画像解析による輝度値の変動特性による評価においても構造破壊を伴うことによる輝度値変動の程度が減少していることで示された。これらの成果により,層内のフローパターンの変化を定量的に表現・分類する手法提案の可能性が得られたが,ガス流れ・振動の併用場における諸現象の全体像を把握するために異なる粒子物性での検証が必要であることが示唆された。
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