研究課題/領域番号 |
20K05198
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研究機関 | 宮崎大学 |
研究代表者 |
塩盛 弘一郎 宮崎大学, 工学部, 教授 (80235506)
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研究分担者 |
松根 英樹 宮崎大学, 工学部, 准教授 (10380586)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | リン脂質膜 / 多孔質ポリマー微粒子 / 疎水性クライオゲル / 銅抽出 / キラル吸着 / 表面改質 / ヒドロキシオキシム系抽出剤 / 抽出速度 |
研究実績の概要 |
1.多孔質ポリマー微粒子へのリン脂質の固定化と特性評価(大学院生1名+塩盛) リン脂質膜を担持した多孔質ポリマー粒子を用いてL-トリプトファンのキラル吸着特性を明らかにした.リン脂質の担持量を変化させてポリマー微粒子を調製し、L-トリプトファンの吸着を繰り返し行った.L-トリプトファンの吸着量が多くなると、吸着が起こり始める時間が次第に早くなり、L-トリプトファンの濃度は直線的に減少した.吸着したL-トリプトファンは、クロロホルム-メタノールの混合溶媒で溶出され、定量的に回収されることを確認した. L-トリプトファンを吸着したリン脂質膜の特性とトリプトファンの蛍光分光分析を行い、膜の状態とL-トリプトファンの膜内での存在状態を測定した. 3.種々のクライオゲルの調製条件および蛍光プローブ分子の固定化法の確立と材料特性の評価(大学生1名+松根) 多孔質の疎水性クライオゲルをTRIMをモノマーとして用い、ヒドロキシオキシム系抽出剤を溶解したDMSOを溶媒とした系で調製できることを見出し、調製条件を確立した.疎水性クライオゲルへの抽出剤の内包量は、多孔質ポリマー微粒子よりも高められた.この抽出剤内包疎水性クライオゲルの銅イオン抽出特性を明らかにした.銅イオンの最大抽出量と内包抽出剤量との関係より、2分子の抽出剤が1つの銅イオンを抽出していることが判った.抽出速度は1桁低いことが判った. 球状の疎水性クライオゲルの調製条件を検討した.液体窒素を用いた凍結法により球状の疎水性クライオゲルを調製出来た.球状疎水性クライオゲルの調製条件が粒子の構造や細孔構造におよぼす影響を明らかにした.円筒状および球状の疎水性クライオゲルへのリン脂質の含浸担持を行い、リン脂質膜の形成をプローブ法により評価した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究代表者が体調不良のため2022年1月末から3月末まで休職したため、研究に従事できずに遅れ気味となった.その後は復職し、研究を進めており、2022年度内に目標としている研究は実施できると判断している.
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今後の研究の推進方策 |
疎水性クライオゲルの調製条件は確立できており、リン脂質膜の担持とキラル認識吸着が行えるようになった.リン脂質膜へプローブ分子を担持させ、膜特性の評価を行う.銅イオンの抽出速度を多孔質ポリマー粒子と疎水性クライオゲルの両方の系で測定し解析を行った結果、疎水性クライオゲルのほうが抽出速度が1桁小さいことが示唆された.抽出剤の担持状態を評価し、抽出速度の違いを抽出剤分子の充填状態の観点から明らかにする. 以上の事から、本年度中に当初挙げた研究は実施できると判断している.
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次年度使用額が生じた理由 |
研究代表者の体調不良により2022年1月下旬より3月末まで研究に従事できずに、研究費を使用出来なかった.4月からは研究に従事しており、研究計画に従い実施可能と判断している.購入予定の蛍光プローブとリン脂質を2022年度に購入し、研究を進め、予定通り使用する計画である.
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