研究課題/領域番号 |
20K05204
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研究機関 | 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構 |
研究代表者 |
澤田 真一 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 高崎量子応用研究所 先端機能材料研究部, 主幹研究員(定常) (70414571)
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研究分担者 |
清藤 一 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 高崎量子応用研究所 放射線高度利用施設部, 主任研究員(定常) (50446457)
長谷川 伸 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 高崎量子応用研究所 先端機能材料研究部, 主幹研究員(定常) (60354940)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | エタノール脱水 / 分離膜 / 放射線グラフト / 水透過性 |
研究実績の概要 |
本研究では、放射線非対称グラフト重合法を用いて、親水層と荷電基層からなる二層接合膜を開発し、エタノール脱水のための浸透気化プロセスに適用する。今年度は、水/エタノール分離特性に優れた親水層の形成を見据え、はじめに放射線グラフト法で親水性分離膜を作製した。具体的には、ポリフッ化ビニリデンを基材膜とし、10~30 kGyのガンマ線を照射後、アクリル酸、アクリル酸2-ヒドロキシエチル、メタクリル酸2-ヒドロキシエチル、ビニルピロリドン、アクリルアミド、アリルアルコールなどのビニルモノマーをグラフト重合した。これにより多様な親水性グラフト鎖を有するグラフト分離膜を作製できた。ガンマ線の照射線量やモノマー濃度、重合時間に応じて、グラフト鎖の導入量に相当するグラフト率を広範囲で制御できた。膜の基礎特性である含水率を調べたところ、グラフト率が同じときでは、ビニルピロリドンをグラフトした膜の含水率が最も高かった。高極性のN-C=O原子団を有するためであると考えられる。 膜作製と並行して、エタノール脱水のための浸透気化試験装置を設計・製作した。有効膜面積13 cm2の2室型ガラスセルの中央部に膜を配置し、セルの上流室にエタノール水溶液を循環させ、下流室を真空ポンプで脱気する仕様とした。下流側の膜面で蒸発した液体を回収するため、コールドトラップを設置した。回収液の屈折率を測定してエタノール濃度を求め、回収液の量および回収液のエタノール濃度から、水の透過率とエタノールの排除率を算出できると考えている。今後、さまざまなグラフト分離膜のエタノール脱水試験を実施し、水透過率とエタノール排除率のデータを取得していく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
あらかじめ無理のない研究計画を策定したため、おおむね順調に研究は進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
放射線グラフト法で非対称分離膜を作製し、エタノール脱水試験を実施する。高い水透過率とエタノール排除率を有する分離膜を創出する。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の予想よりもエタノール脱水試験装置を安価で製作できたことが影響し、次年度使用額が7万円を超えた。実験で使用する試薬や器具の購入に充てるつもりである。
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