研究課題/領域番号 |
20K05205
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研究機関 | 一般財団法人ファインセラミックスセンター |
研究代表者 |
永野 孝幸 一般財団法人ファインセラミックスセンター, その他部局等, 主任研究員 (70450848)
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研究分担者 |
佐藤 功二 一般財団法人ファインセラミックスセンター, その他部局等, 技師 (20552590)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 気相合成 / 炭化ケイ素 / アルミナ / 水素 |
研究実績の概要 |
SiCとしてSiとCの比が1:1での成膜が期待できるポリシラエチレン(PSE)を原料とし、アルゴンあるいは窒素をキャリアガス、水素あるいはアルゴンを反応ガスとした対向拡散CVD法によるSiC膜合成をNi-γ-Al2O3/α-Al2O3多孔質基材上に行った。成膜温度は610-650℃、バブラー温度は40-48℃、反応ガス流量は200-350sccm、成膜時間は31.5-37.5分とした。合成温度635℃を超えると原料ガスとして導入したPSEが粉末化するため、多孔質基材の細孔を封孔することが困難であった。また、合成温度620℃未満では原料の分解が十分でなく、多孔質基材への付着が不十分であった。この結果、PSEを原料として用いる場合、620~635℃程度が極めて狭い合成温度範囲が適していると考えられた。キャリアガスはアルゴンから窒素に変更することにより、やや原料の粉末化を抑制する傾向は見られたが、細孔は封孔することは困難であった。620℃で合成したサンプルのガス透過率測定を行うと透過温度50℃で水素透過率1.8X10-7 mol/m2・s・Pa、窒素透過率4.2X10-8 mol/m2・s・Pa、水素/窒素透過率比4というクヌッセン拡散の膜が得られた。 これらの結果から、PSEはディップコート溶液として使用する(あらかじめ基材にコートした後、加熱処理する)には問題はないが、気相合成用の原料として使用することは難しいことが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
炭化ケイ素原料であるポリシラエチレンが対向拡散CVD法では使用できる条件が極めて狭く、分子ふるい機能を有する膜合成まで至らなかった。
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今後の研究の推進方策 |
ポリシラエチレンより蒸気圧の高いSiC原料に変更し、成膜性を比較検討する。バブラー制御については低温恒温槽を導入し、精度の高い制御を行い、原料濃度を最適化する。
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次年度使用額が生じた理由 |
SiC原料の取り扱いが極めて難しく、ガス透過率測定に関する費用がほとんど発生しなかった。 繰り越し金はCVD装置の改造、新たな原料に購入費に充てる。
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