研究課題/領域番号 |
20K05206
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研究機関 | 宇都宮大学 |
研究代表者 |
佐藤 剛史 宇都宮大学, 工学部, 准教授 (60375524)
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研究分担者 |
伊藤 直次 宇都宮大学, 工学部, 教授 (90356478)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 水素透過膜 / パラジウム膜 / 水電解 |
研究実績の概要 |
本研究では、水を電気分解して水素を得、その水素にて水素化化合物を合成する一連の反応を行うべく、水素透過能を有するパラジウム-銀膜を電極とした水電解、膜を用いた水素分離、膜の透過側での水素化反応による有機化合物の水素化を効率的に行う装置の開発を目的としている。 今年度は、パラジウム-銀膜をカソード、白金メッシュをアノードとした電解セルでの水電解反応に対する温度の影響を評価した。検討の中で、電解セル透過側の気体透過部分への通路が著しく狭小であることが明らかとなり、電解セルの構造を再検討し、セルの蓋部分を再製作した。改良により上記の問題点は解消した。同時に、膜への通電に必要な接続用バネの見直しや装置のシール部分として従来よりも軟質性の部品を導入するなど、装置全体の構造の全面的な見直しを行い、より効率的な水電解を目指した。 この新たなセルを用いて水電解反応に対する温度の影響を改めて評価した。装置の改良により、同じ電圧において電流値は以前の約10倍(100~300 mA)となることがわかった。電圧3V, 電解側圧力0.5 MPaでの水電解を行った結果、温度上昇により電流値と透過水素流量が増大した。これは水の粘度低下による濃度過電圧の寄与の減少と、Pd-Ag膜の水素透過係数の増大によるものである。水素透過率は80 ℃で極小をとり高温域にて増大した。これは、80 ℃以上では、電流値増大による水素生成量増大の寄与よりも水素透過係数増大の寄与が大きいためと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
電解セルの不具合が明らかとなり、装置の一部分の再製作や、その他の部分の改良に時間を費やしたため、研究が想定よりも遅くなった。現在は問題点が解消されており、次の検討に入っている。
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今後の研究の推進方策 |
改良したセルにて確実に水電解が行える条件を確定し、水電解水素製造時における温度・圧力依存性を評価する。次に、電極セルの透過側の水素化仕様への改造、導入する触媒の選定を行い、水電解トルエン水素化が可能な状態とする予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
引き続き、水素化反応を行うための電解セル改良や触媒導入のため費用として、次年度に使用する予定である。
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