研究課題/領域番号 |
20K05206
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研究機関 | 宇都宮大学 |
研究代表者 |
佐藤 剛史 宇都宮大学, 工学部, 教授 (60375524)
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研究分担者 |
伊藤 直次 宇都宮大学, 工学部, 教授 (90356478)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 水電解 / 水素透過膜 / パラジウム膜 |
研究実績の概要 |
本研究では、水の電気分解により水素を製造し、その水素にて水素化化合物を合成する一連の反応を行うべく、水素透過能を有するパラジウム-銀膜を電極とした水電解、膜を用いた水素精製を経た分離、膜の透過側に水素化反応場を構築することによる水素化反応による有機ハイドライド合成を行う装置の開発を目的としている。 今年度はパラジウム75%-銀25%からなる厚さ0.1mmの市販金属板をカソードとし、アノードを白金網とした膜部分が2×2cmからなる電解セルを用いた水電解を行った。一連の検討の中で、水電解挙動のさらなる安定化のためには、カソード膜と導線との接続部分の構造の再検討が重要であることが明らかとなった。そこで、昨年度に引き続きさらなる通電部の改良を試みた結果、カソード膜と導線の接触部について、異径ばねを複数個組み合わせた構造とすることで膜と導線の接触が安定化することがわかった。さらに、これまでの経験を元に装置組み立て手順を最適化し、電解時に生成するガスのサンプリング方法をGCセプタムを活用する方法とするなど、実験手法を細部に渡って見直すことも行った。これらの検討を通じて確度の高いデータ取得を目指した。 その結果、電圧3.0 V, 100 ℃, 電解側圧力0.6 MPaにて水電解を行った結果、電流は約200 mAの高い値にてほぼ一定とすることができた。水素透過率は時間経過により徐々に上昇して3時間以後は90%以上の値にて安定であった。以上より、本装置にて安定した水電解が可能となったものと判断した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
現状よりもさらに安定した電解挙動を得るために、基本的な装置内部構造の見直しを行ったため研究が想定よりも遅くなっている。今後は、水電解において基本的なデータの蓄積を行い、その上で電解水素化の検討を始めたい。
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今後の研究の推進方策 |
まず、水電解水素製造時における温度・圧力・溶液濃度と電流値・水素精製量・水素透過率の関係を評価する。次に、電極セルの透過側の空間に水素化触媒を導入し、トルエンを供給して水電解水素化を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
令和4年度実施できなかった水電解水素化実験について、令和5年度は実施予定である。そのための費用を計上した。
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