研究課題/領域番号 |
20K05207
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
嶋田 五百里 信州大学, 学術研究院繊維学系, 講師 (40708187)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 残油流動接触分解 / 機械学習 / 特徴量エンジニアリング |
研究実績の概要 |
本研究では、石油精製技術の一つである残油流動接触分解(RFCC)プロセスにおいて重質油中に含まれる多環芳香族を分解して高付加価値な単環芳香族に転換することを目指し、反応機構の解明や反応条件の最適化に取り組んでいる。そのために、原料に含まれる成分組成や反応条件から多環芳香族分解活性を決定する要因を抽出し、反応生成物組成を予測するモデルの構築することを検討している。今年度(令和2年度)は、機械学習を利用して原料組成および反応条件(反応温度や接触時間)から生成物組成を予測するモデルの構築に取り組んだ。 原料組成および反応条件を単純に特徴量として用いた線形回帰では、反応生成物の挙動を十分には表現できなかった。そこで、基本となる特徴量に加え、成分間での相互作用を表現する濃度交差項を導入する、温度をアレニウス型に変換する、反応速度項や微分反応器を仮定した濃度変化項を導入する、などの物理化学的な根拠に基づいた特徴量エンジニアリングを行うことで特徴量を増加させるとともに、特徴量選択を伴う線形回帰であるLASSO回帰を用いて回帰モデルを作成したところ、生成物組成の予測精度を大幅に改善することができた。このようにして作成したモデルは、基本特徴量を用いた非線形回帰(サポートベクトル回帰、ランダムフォレスト)を上回る予測精度を示した。さらに、選択された特徴量から重要な因子を推測することができることから、解釈可能性も高いモデルとなっている。これらの結果から、物理化学的な根拠に基づく特徴量エンジニアリングが予測精度と解釈可能性の両立に向けて有効である可能性を示すことができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
生成物組成を予測する機械学習モデルの構築に関しては、物理化学的な根拠に基づく特徴量エンジニアリングを行うことで予測精度の大幅な改善を行うことができた。一方で、大量のデータ取得を可能にする半自動化反応試験装置の構築には想定以上の時間がかかったために遅れており、予定していたデータ数を取得できなかった。次年度は早急に装置を構築して予定通りのデータ数の取得を目指す。
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今後の研究の推進方策 |
今年度に構築した機械学習による生成物組成予測モデルをさらに拡張し、原料の組成や分子構造の情報に基づいて多様な原料の反応を予測できるモデルを構築する。その一方で、半自動化反応試験装置による大量データの取得を早期に実現させ、機械学習モデルの構築に必要なデータの取得を加速する。
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