研究課題/領域番号 |
20K05209
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
久保 優 広島大学, 先進理工系科学研究科(工), 助教 (00633752)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | Metal-organic frameworks / マイクロ-メソ-マクロ細孔 / 自己集合 / HKUST-1 / Spray-drying / 階層型細孔構造 |
研究実績の概要 |
本研究では申請者が近年開発した噴霧液滴を反応場として利用した金属有機構造体(MOF)の噴霧合成プロセスを用いて、従来の手法では困難なマイクロ-メソ-マクロの階層的な細孔構造を有するMOF(HP-MOF)を創製することを目的とする。本研究課題は3年間の研究期間を予定しておりこの期間中に、①ソフトテンプレートを用いたマイクロ-メソ孔を有するHP-MOFのバッチプロセスによる合成で、HP-MOFの合成条件を明らかにし、②噴霧合成プロセスによるマイクロ-メソ-マクロ細孔を有するHP-MOFの合成およびメソ孔の制御を行う。さらに③HP-MOFの触媒・吸着・分離特性評価を行うことで、階層的な細孔構造がMOFの機能性に与える影響を明らかにすることを計画している。 2020年度においてはMOFとして噴霧合成に関する知見が豊富なHKUST-1 (Cu3(BTC)2; BTC3- = 1,3,5-benzenetricarboxylate)を用い、バッチプロセスによりマイクロ-メソ孔を有するHP-MOFの合成条件を検討した。 ソフトテンプレートとしてCTABに加え,HKUST-1とソフトテンプレートの親和性を高めるためキレート剤を用いたことにより、メソ孔を有するHKUST-1の合成に成功した。しかしそのメソ細孔構造はイレギュラーなものであった。 この合成条件の組成の溶液を用いて噴霧合成を行ったところ、ある組成において噴霧合成で得られるマイクロ-マクロ孔に加え、メソ孔が形成されることがわかった。しかしそのメソ細孔の細孔径分布はブロードであり、規則的なメソ細孔構造にはなっていないことがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2020年度においては本研究の3つの計画のうち、①ソフトテンプレートを用いたマイクロ-メソ孔を有するHP-MOFのバッチプロセスによる合成で、HP-MOFの合成条件を明らかにすることを達成した。さらに②噴霧合成プロセスによるマイクロ-メソ-マクロ細孔を有するHP-MOFの合成が可能であることも明らかにした。以上のことより、概ね順調に進展していると自己判断する。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究推進方策として、まず規則的なメソ細孔構造を形成可能な条件を探索する。実験パラメータとして、ソフトテンプレートの変更および組み合わせ、温度や滞留時間などの噴霧条件について検討する。 また同時に階層的な細孔構造により物質拡散が促進されると考えられるので、HP-MOFの機能性評価として触媒反応試験および、分子量の異なる色素を用いた吸脱着速度測定実験を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルスの影響により、旅費の支出がなかったためである。 メソ孔を形成するための様々なソフトテンプレート用試薬の購入費として使用を計画している。
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