研究課題/領域番号 |
20K05213
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研究機関 | 福岡大学 |
研究代表者 |
野田 賢 福岡大学, 工学部, 教授 (60293891)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | プラントアラーム / 連鎖アラーム / ドットマトリックス解析 |
研究実績の概要 |
本研究は、プラント運転データからの有害アラーム抽出法の開発を研究目的とする。当該年度は、ドットマトリックス解析によるプラント運転データからの連鎖アラーム抽出法の改良に取り組んだ。ドットマトリックス解析を用いたプラント運転データからの連鎖アラーム抽出法では、プラント運転データからアラームの発報順に並べたアラーム配列を作成し、それらををグラフの縦横に並べ、縦横のアラームが一致したときの座標に点を打つ。点はアラームの一致を示すため、対角線方向に連続して並んだ点は、アラームの種類と発報順が同じものが2回発報していることを意味する。アラームの種類と発報順が一致しているアラーム配列が複数回発生するとき、これらは連鎖アラームであると考えられる。ドットマトリックス解析は、グラフ上の点で連鎖アラームを視覚的に抽出することができる利点があるが、その一方で①連鎖アラーム間の発報時間差を考慮していない、②長さの異なる同一の連鎖アラームへの対応が行えない、③アラーム配列が完全に一致していないと連鎖アラームとされないという問題がある。これらの問題に対して本研究では、①連鎖アラーム間の発報時間差を可視化するために、それぞれの連鎖アラームの1点目のアラームからの発報時間差を示すグラフを従来のグラフに追加する、②グラフ上に並んだ連鎖アラームを重複したものも含めてすべて抽出し、それらの中で類似度が高い連鎖アラームを同一の連鎖アラームとする、③アラーム配列内に1箇所の入れ替わりや欠落が生じている場合にも、他の配列が完全に一致しているときは同一の連鎖アラームとする、という手法の改良を行った。改良手法はグラフィカル手法というドットマトリックス解析の特徴を維持しつつ、連鎖アラーム間の発報時間差を考慮して連鎖アラームを抽出できる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当該年度までに、実プラント運転データによる提案手法の性能評価を実施する予定であったが、現時点で計画通り進捗できていない。これは、新型コロナウィルスの感染拡大により、プラントへの立ち入りが制限され、運転データの収集ができなかったためである。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策は以下通りである。 ①実プラント運転データによる提案手法の性能評価 研究協力者が所属する化学企業の実プラントの運転データに開発した手法を適用し、有害アラームの抽出を試みる。 ②プラントアラームシステムの適正化 抽出した有害アラーム情報に基づきプラントアラームシステムの適正化を試みる。連鎖アラームであれば、ファーストアラーム以外のアラームの設定を削除し管理範囲を変更する。適正化後のプラント運転データを再度分析し、有害アラームが削減できているか検証する。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルスの感染拡大により、令和3年度の国内外の学会の多くがオンライン開催となり、旅費に多額の次年度使用額が生じた。令和4年度は多くの学会が対面での開催を計画しているので、学会発表のための旅費として使用する予定である。
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