研究課題/領域番号 |
20K05216
|
研究機関 | 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構 |
研究代表者 |
島 明日香 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 研究開発部門, 主任研究開発員 (80570035)
|
研究分担者 |
小廣 和哉 高知工科大学, 環境理工学群, 教授 (60170370)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | 逆水性ガスシフト反応 / ケミカルループ法 / 複合金属酸化物 / ナノ粒子多孔体 / 酸素キャリア |
研究実績の概要 |
金属酸化物を酸素キャリアとしたケミカルループ法による逆水性ガスシフト反応(RWGS-CL)は、高効率・高選択的にCO2からCOを合成する方法の一つとして注目されている。本研究は、反応速度、酸素受容性、寿命の点でRWGS-CLに最適な酸素キャリアの合成と機能評価を行い、含有金属酸化物の種類・組成比・粒径等の条件・特性を明らかにすることを目的にしている。具体的には、評価対象として酸化鉄・酸化セリウムを軸に、複数の金属酸化物を5 nm 以下のナノ粒子レベルで均一混合した複合金属酸化物多孔体を評価の対象とする。また、同物質の粒子界面を中心とした表面観察や、その酸化還元特性を分析することで、金属酸化物ナノ粒子の反応への寄与メカニズムを解明する計画である。 2020年度は、Fe、Ceの含有量が凡そ1:1の複合金属酸化物多孔体の反応特性をTGA、XPS、GC等を用いて評価した。その結果、球状の複合金属酸化物多孔体によって、特にH2還元で反応の低温化が示唆された。また、反応後サンプルのSTEM-EDX分析では、反応前の構造に対してFeおよびCeの均一的な分散が維持されていることが明らかになった。一方で、分析方法がその後の結果に大きく影響を及ぼすことが一連の結果から示唆されたことを踏まえ、今後の試験・分析方法を見直した。さらに、同一サンプルに対してRWGS-CL反応を繰り返した試験では、複合化によるCO収量の安定化効果が確認された。ただし、生成した水とCOの各収量から反応のバランスを評価することは難しいと判断されたので、定量的な反応特性の評価方法は引き続き検討する。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
・各種分析結果から、今後の統一的な試験・分析方針を得た。 ・複合化によるCO収量の安定化効果が実験的に確認された。今後、含有元素比の最適化を実験的に行う予定である。 ・CO生成速度の評価方法の確立を急ぐ必要がある。
|
今後の研究の推進方策 |
FeおよびCeの組成比の異なる球状複合金属酸化物の合成と性能評価を実施する。XPSなどの分析を引き続き実施し、反応機構に対する構造の寄与を明らかにする。
|
次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナ感染症の影響で出張等による旅費使用がゼロとなり、さらに緊急事態宣言発令に伴う研究施設への出入り制限などで、一部予定していた物品の購入ができなかった。次年度使用額は翌年度助成金と合わせて予定していた物品の購入に充てる計画である。
|