研究課題/領域番号 |
20K05217
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
高 敏 北海道大学, 触媒科学研究所, 助教 (40784202)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 構造活性相関 / 金属クラスター / 理論計算 |
研究実績の概要 |
金属ナノ粒子の触媒活性は、構造、サイズ、電荷などの様々な因子に依存するため、触媒活性の主要な影響因子を解明するのは難しい。特に、何個原子数を含めてる金属クラスターは柔らかく、多様な構造を有するため、触媒活性の理論解析するには、実在系に近い理論計算モデルを用いて、大量の計算を網羅的に実行する必要がある。本研究では、金属クラスターの多様な構造を考慮し、活性サイトを系統的に調べ、機械学習を併用することで、活性サイトを明らかにすることを目指し、研究を進めている。 本年度は、金属クラスターの活性サイトを解析するプログラムを作成し、多様な金属クラスターにおける小分子の分解反応への応用を進めた。また、金属クラスターの多様な分子構造について、得られた計算データの収集を進めた。さらに、複数の金属種における、小分子の分解反応の反応経路データを計算・収集した。金属クラスターに加えて、酸化金属や、表面触媒の活性サイト依存性の研究にも着手した。 具体的な応用研究としては、分子状酸素によるCO酸化反応およびエチレンエポキシ化反応について、六方晶窒化ホウ素表面にC原子ドープを導入することで、触媒活性が高く、活性領域が広くなることを明らかにし、新たな触媒設計指針を提示した。また、実験と共同研究を通じて、金属酸化物における、二酸化炭素の吸着活性化のサイト依存性を調べ、金属酸化物の酸素欠陥が重要な役割を果たすことを示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、Au以外の金属種や酸化金属における小分子の解離反応に触媒活性を理解できるところまで研究を進めており、計画通り進行しているといえる。 本年度は、(1)~(3)の研究について進捗があった。(1)複数の金属種における小分子の分解反応のデータを収集した。(2)酸化金属クラスターにおける小分子の解離反応を探索し、反応活性における影響因子を明らかにした。(3)反応サイトを系統的に探索することで、C原子ドープしたh-BN表面が広い活性サイトを有することを示した。(3)の研究成果は、米国化学会のJ. Phys. Chem. Cに第一著者として発表している。(2)の成果は現在論文投稿準備中である。
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今後の研究の推進方策 |
本年度に引き続き、様々な金属クラスターにおける小分子の分解反応の反応経路データを計算し、金属クラスターの構造活性相関の解明に取り組んでいく。また、これまで得られた構造活性相関の議論を、違うサイズの金属クラスターに適用し、得られた構造活性相関の妥当性を検証する。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症の影響により、オンライン学会に参加したため、学会旅費を使用しなかった。そのため、次年度使用額が生じた。 本研究の研究成果発表のための学会への参加旅費、論文出版費用、データを蓄積するのハードディスク費用、研究関連ソフトウェア契約費用などとして利用することを計画してる。
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