研究課題/領域番号 |
20K05221
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
杉山 茂 徳島大学, 大学院社会産業理工学研究部(理工学域), 教授 (70175404)
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研究分担者 |
加藤 雅裕 徳島大学, 大学院社会産業理工学研究部(理工学域), 教授 (80274257)
霜田 直宏 徳島大学, 大学院社会産業理工学研究部(理工学域), 助教 (50712238)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | アルカン / アルケン / 脱水素 / 炭素析出 / 酸化ニッケル触媒 / アルミナ担体 / 触媒劣化耐性 / 繊維状炭素 |
研究実績の概要 |
最終年度は、エタン、プロパンのγ-アルミナ担持酸化ニッケル触媒を用いたエチレン、プロピレンへの接触脱水素を重点的に検討した。本申請の切っ掛けとなった同触媒によるイソブタンからイソブテンへの接触脱水素の場合と同様、酸化ニッケルの担持率が15~20%程度になると、通塔時間に伴うエチレンやプロピレンの収率が通塔時間に伴い改善されることが明らかになった。したがって、接触脱水素反応において一般に認識されている通塔時間に伴う脱水素生成物の収率減少は、少なくともエタン、プロパン、イソブタンの接触脱水素では、酸化ニッケルの担持率が10%以下や30%以上では見られるが、その間の担持率では、通塔時間に伴って目的生成物の収率が著しく改善することが確認できた。これまでに報告例は今までにないために、アルカンを3種類変えて本申請課題の実施期間3年間を利用して、慎重に検討したが、間違いないことが確認できたことは、触媒科学の分野にこれまでと全く異なる現象が生じることを研究機関全体を通じて明らかにできた。このような現象が起こる原因は、通常の接触反応では形成されない、繊維状炭素が金属ニッケルから成長し、その成長に伴って、金属ニッケルの分散度が著しく高くなることにつながる微小な金属ニッケルが繊維状炭素上に形成されることが明らかになった。金属ニッケルから繊維状炭素が発現することは、昔から言われていたが、昨年開催された触媒科学の国際会議TOCATで、メタンの脱水素において金属ニッケルから繊維状炭素が形成される動画が公表されるなど、本申請に対する研究成果や外部の発表からも、本申請時に想定した構想が正しいことが証明された。このような繊維状炭素の形成は、同程度のニッケル担持率をγ-アルミナに担持した触媒によるハロゲン化物の還元反応では観測されず、特定のアルカンに特徴的な反応挙動であることも確認できた。
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