研究課題/領域番号 |
20K05224
|
研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
日吉 範人 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 材料・化学領域, 主任研究員 (50415733)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | ヘテロポリ酸 / 電子顕微鏡 / 触媒膜 |
研究実績の概要 |
本研究では、ケギン型ヘテロポリ酸分子を薄膜状に集積させた触媒膜を開発し、その性能を明らかにすることを目的とする。これまでに、アミンがインターカレーションした層状構造を有するケギン型ヘテロポリ酸のセシウム塩が得られることを見出している。この層状ヘテロポリ酸塩を膜の前駆体として利用することを考え、本年度は主に、層状ヘテロポリ酸塩の合成条件の検討と、得られた塩の構造解析を行った。アルキル基の長さや数の異なる種々のアミンを共存させてケギン型ケイタングステン酸のセシウム塩の合成を行い、目的の層状塩構造が形成されるアミンの種類を明らかにした。また、層状塩が生成する溶液の濃度条件を明らかにした。さらに、アルキル鎖に他の官能基を導入したアミンを用いても同様の層状塩構造が形成されることを見出し、層状塩を前駆体とした膜を作成を行う上で重要な知見を得た。これらの結果から前駆体の合成条件を決定した。層状塩のキャラクタリゼーションを収差補正走査透過電子顕微鏡(STEM)、エネルギー分散型X線分光、粉末X線回折、赤外分光法、ガス吸着、および、熱重量分析を用いて行い、構造と組成を明らかにした。特にSTEMでは層状塩断面の原子分解能観察に成功し、層状酸塩の結晶構造を明らかにできた。さらに、加熱による層状塩の構造変化を調べ、触媒膜の作成のための処理条件を検討した。これらの知見を基に、層状塩を前駆体とした触媒膜の作成に着手した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前駆体の合成条件を決定し、触媒膜の作成の段階に進むことができたことから順調に進展していると考えている。
|
今後の研究の推進方策 |
本年度に合成した層状構造を有するケギン型ヘテロポリ酸のセシウム/アミン複合塩を前駆体とした触媒膜の作成とその性能評価を行う。
|
次年度使用額が生じた理由 |
電子顕微鏡作成用品の購入を産総研内部予算で行い、また、出張を行わなかったため残額が生じた。今年度、膜作成および評価のための試薬および装置に使用する予定。
|