研究課題/領域番号 |
20K05226
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
金岡 英徳 名古屋大学, 工学研究科, 助教 (30631973)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | エピジェネティクス / DNAメチル化 / ストレス応答 / DNA修復 / 蛍光イメージング / ニワトリ始原生殖細胞 |
研究実績の概要 |
本研究ではDNAメチル化を主な指標として、ニワトリ始原生殖細胞(Primordial germ cells; PGC)のエピジェネティクスの状態を蛍光イメージングやDNAシーケンスにより捉え、環境ストレスがニワトリの量的形質を制御する遺伝子にどのような影響を与えるのかを解析する。本年度は、培養細胞において環境ストレスを検出するレポーターの開発とDNAメチル化を検出するレポーターの構築を行なった。 まず環境ストレスを検出するレポーターとして、DNA修復因子であるRAP80をクローニングし、蛍光タンパク質eGFPと融合したコンストラクトを作製した。培養細胞に導入後、ストレス応答を観察するためにZeocinで処理したところ、DNA損傷マーカーγH2AXとの共局在とDNA修復fociの形成が観察された。しかし、単なる融合タンパク質だとストレス応答foci以外にも蛍光が観察されたため、より特異性を向上させる必要があると考えられる。 また、DNAメチル化を検出するレポータとして、MBD (methyl-CpG-binding domain)と蛍光タンパク質mCherryを融合したコンストラクトを作製した。細胞に導入後、DNAメチル化阻害剤5-Azacytidineで処理すると蛍光の減弱が観察されたが、バックグラウンドが高いため、より検出感度を向上させるために融合させる位置やリンカー長などを検討する必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り、DNAメチル化検出レポーター、環境ストレス検出用レポーターの構築が完了し、培養細胞を用いて作動性の確認までできている。バックグラウンドの抑制など、改善すべき点は見られるが全体的には順調に進行している。
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今後の研究の推進方策 |
申請書の実験計画に基づいて、以下の検討項目課題を行う。 ・mCherry-MBD(メチル化DNAレポーター)を導入した細胞に、様々なストレスを与え蛍光イメージングにより影響を観察する。 ・mCherry-MBDを恒常的に発現するニワトリ PGCを樹立する。 ・mCherry-MBDとeGFP-RAP80(環境ストレスレポーター)を細胞へ同時に導入し、ストレス応答とDNAメチル化の連携を検証する。 また、本年度の結果より以下の検討を行う。 ・mCherry-MBD, eGFP-RAP80の検出感度を向上させるために、BiFC (Bimolecular fluorescence complementation)法を用いたレポーターの構築を行い検討する。
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