本研究ではDNAメチル化を主な指標として、ニワトリ始原生殖細胞(PGC)のエピジェネティクスの状態を蛍光イメージングやDNAシーケンスにより捉え、環境ストレスがニワトリの量的形質を制御する遺伝子にどのような影響を与えるのかを解析する。本年度は、培養細胞において環境ストレスを検出するプローブを用いた解析を行なった。 環境ストレス(DNA損傷)を検出するために前年度作成した修復因子RAP80と翻訳後修飾因子SUMOを利用したBiFC (Bimolecular fluorescence complementation)プローブを使用し解析を行った。BiFCプローブは外部から薬剤によるDNA損傷を与えなくても蛍光シグナルを発していたが、このシグナルは内在的に起こる微弱なDNA損傷を検出していることがわかった。これまで免疫染色等の手法を用いなければ検出できなかった損傷を本研究で開発したBiFCプローブを用いることで、より明確に検出することができた。また、BiFCプローブの局在はDNA損傷によりダイナミックに変化していることがわかり、DNA修復の基礎的解析に利用できる可能性もある。 本研究期間では検討できなかったが、このプローブを改変しBiFCシグナル部位をビオチン等でラベル化すれば、より外部環境の変化に影響を受けやすいゲノム領域を同定できると考えられる。このゲノム領域のジーンオントロジー解析やエピゲノム解析を行うことで、育種に有用なエピゲノムの領域、変化の同定に発展させたい。
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