研究課題/領域番号 |
20K05247
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
竹下 道範 佐賀大学, 理工学部, 教授 (40274534)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | フォトクロミズム / 超分子ポリマー / 光駆動 / 光スイッチ / 超分子エラストマー / 超分子 |
研究実績の概要 |
本年度は、本研究の課題である「光スイッチを持った水素結合性超分子エラストマーの光駆動」について、以下のことが明らかになった。 (1)4点水素結合部位である、ウレイドピリミジノン基を有するポリ(エチレン-co-ブチレン)(PEB-(L-UPy)2)の超分子エラストマーを作成し、その結晶状態をSAXS/WAXSで明らかにした。このことにより、(PEB-(L-UPy)2)が部分的に結晶構造を有しており、それが、超分子エラストマーの光駆動において重要な役割を担っていることが明らかとなった。 (2)光スイッチ部位である、ジアリールエテンの結晶が、加熱によってアモルファスになった時、フォトクロミズムを行えるか検証した。この結晶は、すでに光照射によって動的特性を示し、曲がったりジャンプしたりすることが報告されているが、それを加熱によってアモルファスにすることで、大きな変化が見られた。①結晶と同様に光照射によって同的挙動を示した、②アモルファス状態ではジャンプすることがなかった、③結晶とは異なる新しいタイプのジャンプなどである。これらは、アモルファスフィルムのガラス転移点が室温に近いために、観測されたと結論づけた。この研究は、「光スイッチを持った水素結合性超分子エラストマーの光駆動」における、光スイッチの挙動と大きく関連づけられる。 (3)今までエラストマー材料として、ポリ(エチレン-co-ブチレン)を用いてきたが、さらに研究を進め、ポリカーボネートジオールをベースとした水素結合成長分子エラストマーを開発している。今のところ、なかなかフィルムにはならないが、分子量等を変えることで対処する。 (4)3点水素結合を用いた超分子ポリマーの開発も行なっており、光スイッチをまで合成が完了している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度も新型コロナウイルス蔓延のため、学生の学内への立ち入りが制限され、また、文献調査を行う近隣の大学の図書館も外部からの立ち入りができなくなったため、研究に進捗がやや遅れている。 次年度は、withコロナと舵を切っていただき、研究が従来通りできるようにして欲しい。
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今後の研究の推進方策 |
フランスの研究者との共同研究は引き続き行なっていく。渡航できなくてもオンライン等でディスカッションを行い、より研究を深めていく。また、ポリカーボネートジオール等を用いたエラストマーの開発、3点水素結合を用いた超分子ポリマーの開発を進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナ禍で、出張が中止となり、また、研究設備の新規導入の必要性を欠いていたが、最終年度において必要な設備が生じたため。
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