研究課題/領域番号 |
20K05258
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研究機関 | 仙台高等専門学校 |
研究代表者 |
佐藤 健太郎 仙台高等専門学校, 総合工学科, 准教授 (90583550)
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研究分担者 |
泉田 渉 東北大学, 理学研究科, 助教 (20372287)
奥山 倫 明治大学, 理工学部, 助教 (60735562)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | ナノカーボン / フォノン / トポロジカル物性 |
研究実績の概要 |
本研究の目的はカーボンナノチューブなどのナノカーボンにおけるトポロジカルな性質に起因するフォノンと結晶構造についての関係を明らかにすることである。トポロジカルな性質によるフォノンの振動モード,エネルギーや結晶構造との関係が明らかになれば,熱伝導,電気伝導,またラマン散乱といった光物性などフォノンが関わる現象においても新しい知見が得られる可能性がある。 2020年度に引き続いて2021年度は有限の長さのカーボンナノチューブにおけるフォノン分散関係と振動モードの関係について,有限の長さのカーボンナノチューブの直径,カイラリティ,長さとの関係を明らかにするための数値計算プログラムの改良と開発,数値計算の結果を解析するために必要な理論の展開,および有限の長さのアームチェアカーボンナノチューブ,ジグザグカーボンナノチューブ,カイラルカーボンナノチューブにおけるフォノンの振動モードの数値計算をforce constantモデルなどを用いて進めた。数値計算の結果および解析から有限の長さのカーボンナノチューブの端に局在する振動モードとそのエネルギー,結晶構造との関係およびそれらの性質について議論を展開した。さらに有限の長さのカーボンナノチューブの直径,カイラリティ,長さ,端の状態などを系統的に変えた数値計算を引き続いて進展させ,トポロジカルな性質に起因するフォノンが関わると予想される現象についての考察や,カーボンナノチューブのナノメカニカルデバイスへの応用などについて考察を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究課題の研究実施計画を策定する際に予想できなかった新型コロナウイルスによる研究環境への影響や,新型コロナウイルス対策のための対応が求められていることにより,当初に想定していた研究計画を十分に進展するための時間の確保などが難しい場合もあった。本研究課題では定期的な遠隔会議の開催など限られた時間を効率的に利用する工夫なども行ない研究課題を進捗させているが,新型コロナウイルスによる影響はやや大きく,2021年度の本研究課題の進捗状況は当初の研究実施計画における想定よりもやや遅れていると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度は引き続き有限の長さのカーボンナノチューブにおけるフォノン分散関係と振動モードの関係について,カーボンナノチューブの直径,カイラリティ,長さ,端の状態などの結晶構造との関係を明らかにするための数値計算を系統的に進め,また理論の展開を行う。得られた数値計算の結果と解析からトポロジカルな性質に由来するカーボンナノチューブのフォノンと直径,カイラリティ,長さなどとの関係を定量的に明らかにするための考察を推進する。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究課題の申請時には想定できなかった新型コロナウイルスによる環境の変化により旅費に関する費用を使用できなかった。また数値計算用ワークステーションの導入を計画していたが同様に新型コロナウイルスの影響および半導体不足による影響などもあり,数値計算用ワークステーションに関する部品を購入するための費用に次年度使用額が生じた。2022年度に旅費,数値計算用ワークステーション,研究関連資料やコンピュータ関連の補強に関する費用などに使用する予定である。
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