研究実績の概要 |
本研究は,申請者が発見した,「熱を介して,光エネルギーを電気に変換する全く新しい光電変換現象」である,プラズモニック光熱電変換の駆動機構の解明と,その機構に基づく高効率光電変換デバイスの実現を目的とした.初年度であるR2度中に,当初の目的である,プラズモニック光熱電変換機構の基本的な駆動原理について,実験的手法および電磁界計算的手法によって明らかにすることができた.そのため,R3年度以降は解明した光熱電変換機構を実用展開することを目指し,本機構に基づく環境発電への展開を図るとともに,高効率光電変換デバイスの実現を目指した. R3年度以降に取り組んだ項目は,環境の熱エネルギーを使った環境発電を実現する試みである.プラズモニック光熱電変換機構を,環境が放出する熱輻射によって駆動すれば,環境の熱をエネルギー源とする環境発電が実現すると考察した.この提案を実験的に確認する手法として,赤外吸収メタマテリアル構造を銅板電極上に形成し,そのメタマテリアル電極をビスマステルル熱電変換素子の一端に装着して均一な温度分布の環境に設置し,環境発電できるか,確認を行った.その結果,赤外吸収メタマテリアル構造を装着した熱電変換素子は,均一な温度分布の環境に設置されているにも関わらず,熱電発電することを実験的に確認した.メタマテリアルを装着しない比較素子を同条件の環境に設置した場合は熱電発電しなかったことから,プラズモニック光熱電変換機構に基づく環境発電を実験的に実現したといえる. 本成果は国際会議 SPIE,META2022, APNFO13等の6件の国際会議,及び3件の国内会議の招待講演で発表した.また国内雑誌の総説2件,及びArXiv誌にて発表をした.加えて本研究テーマに関連する特許申請を2件行った.現在,本テーマに関する論文2件が査読中である.
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