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2020 年度 実施状況報告書

効率的な低分子紡糸技術の開発に向けた化学的・工学的手法の検討

研究課題

研究課題/領域番号 20K05265
研究機関奈良先端科学技術大学院大学

研究代表者

吉田 裕安材  奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 助教 (40727913)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワード低分子紡糸 / 環状低分子化合物 / シクロデキストリン / エレクトロピニング / ナノファイバー / 繊維材料
研究実績の概要

本研究課題では、高分子・繊維科学と超分子科学を最大限に融合させた新技術「環状低分子化合物の直接紡糸技術(低分子紡糸技術)」を高効率化させることを大目標とする。具体的には、i) 環状低分子化合物間の相互作用の制御やii) 新たな紡糸技術の導入、さらにはiii) 低分子紡糸に適用可能な分子群の拡張を目指す。そのために、初年度(R2年度)はi)を中心に取り組みながら、ii)を実施するための装置の設計を進めた。
i)に関して、大きく2つの系に取り組んでいる。一つは、比較的容易に合成可能なシクロデキストリン(CD)誘導体を各種合成し、それらの溶液レオロジーや紡糸性を評価した。一般的に、紡糸技術において化合物の溶解性や溶液レオロジーは非常に重要であり、CD誘導体の側鎖の構造がわずかに変わるだけで紡糸性が大きく変わることもある。したがって、多様な誘導体を網羅的に検討していくことで、低分子紡糸の必要条件の解明に努めていく。もう一つは、CDの環構造が紡糸性に与える影響を検討するため、環状CDと直鎖状オリゴグルコースの溶液レオロジーや繊維形成能を評価した。低分子紡糸分野において、CDは大半の研究で利用されている化合物であり、側鎖水酸基を種々導入したCD誘導体においても比較的容易に防止することができる。しかしながら、なぜCDがこれほど効率よく紡糸できるのかは明らかになっておらず、これが解明できれば新たな適用可能分子の探索にも有用だと考えられる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

上記概要欄にも示した通り、当初の計画以上に進展していると考えている。初年度(R2年度)に実施予定であったi)ならびにii)についてそれぞれ判断理由を示した。
i)に関して、約10種類のCD誘導体を合成し、それぞれの溶解性や溶液レオロジー、また紡糸性を評価した結果、約半数において紡糸が可能であり、比較的容易にバルクの不織布を得ることができた。紡糸できなかった化合物においても、溶媒条件等を精査することで継続的に検討していく予定である。また、当初の研究計画になかったCDの環構造が紡糸性へ与える効果についても調査している。具体的には、1, 4, 7量体の直鎖状オリゴグルコースをそれぞれ合成し、その溶液レオロジーや紡糸性について、環状CDと比較検討を進めた。この結果は、i)の目的である環状化合物間の相互作用の制御において重要な知見につながると考えている。
以上の状況から、当初の計画以上に進展していると判断した。

今後の研究の推進方策

初年度に得られた成果の論文化を進めながら、さらに多様なCD誘導体等に展開していく。また、上述のCDの環構造の有効性については更なる調査が必要であるが、次年度中に論文化できるように進めていく。ii)を実施するための装置は未だ設計が不十分であり、こちらも併せて進めることで滞りなく推進していく。

次年度使用額が生じた理由

コロナ情勢に伴い、研究実施時間が大幅に減少し、試薬・器具への出費が大幅に減少した。次年度も同様の傾向が続くことが予想されるため、本課題を促進できる100-150万円程度の装置の購入も検討中である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2021 2020

すべて 学会発表 (1件) 図書 (1件)

  • [学会発表] エレクトロスピニングによるトリアセチル‐β‐シクロデキストリン不織布の開発とその表面濡れ性評価2020

    • 著者名/発表者名
      平野直登、吉田裕安材、網代広治
    • 学会等名
      第10回CSJ化学フェスタ2020
  • [図書] エレクトロスプレー/スピニング法とその応用2021

    • 著者名/発表者名
      吉田裕安材
    • 総ページ数
      9
    • 出版者
      シーエムシー出版
    • ISBN
      978-4-7813-1592-8

URL: 

公開日: 2021-12-27  

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