研究課題/領域番号 |
20K05268
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研究機関 | 兵庫県立大学 |
研究代表者 |
藤井 俊治郎 兵庫県立大学, 工学研究科, 准教授 (80586347)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | グラフェン / ナノカーボン / 透明電極 / 有機無機ペロブスカイト / ペロブスカイト太陽電池 |
研究実績の概要 |
有機無機ペロブスカイト太陽電池は、現在その最高変換効率が25.5%に達し、シリコン太陽電池の代替として実用化への期待が高まっている。本研究課題では、高い導電性と透過率を持つ二次元層状材料であるグラフェンを透明電極に適用した多機能な有機無機ペロブスカイト太陽電池の開発を目指す。本研究では、ペロブスカイト太陽電池の発電効率をいかに向上させるかではなく、何にどう利用するかに着目して研究を行う。 令和2年度は、グラフェン合成のための化学気相成長(CVD)装置の立ち上げに取り組んだ。新たに立ち上げた大気圧CVD装置を用いて、グラフェンの成長温度やガス流量などの条件の最適化を行った。ニッケル基板および銅基板上に作製した試料をラマン分光法により評価した結果、グラフェンに特有の2Dピークが確認された。また、2Dピークのマッピングを測定した結果から、測定範囲全域にグラフェンが成長していることがわかった。ニッケル基板および銅基板上に多層グラフェンを成長させることに成功した。 一方、ペロブスカイト太陽電池作製の指針を得るために、有機無機ペロブスカイト太陽電池のデバイスシミュレーションを行った。具体的には、1次元デバイスシミュレーターを用いて、ペロブスカイト太陽電池の性能をシミュレーションした。一般的にペロブスカイト太陽電池の電子輸送材料として用いられている酸化チタンに代わる新材料の検討を行った結果、n型半導体である酸化ガリウムを電子輸送層に適用できる可能性を明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
現状では、ペロブスカイト太陽電池の作製を外部共用施設等で行う必要がある。令和2年度は社会情勢上、外部共用施設等での実験が困難であったことから、ペロブスカイト太陽電池の作製に関して、研究がやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
現在までに多層グラフェンの合成に成功しているが、透明電極に応用するには単層から数層のグラフェンの合成および層数の制御が課題である。昨年度の結果を基に、グラフェンの合成技術の開発を進め、この課題に取り組む。ペロブスカイト太陽電池の作製に関しては、今年度も外部共用施設等での実験が困難な場合、研究設備の整備を進めるとともに、デバイスシミュレーションを引き続き行いペロブスカイト太陽電池作製の指針および知見を蓄える。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度は、学会のほとんどがオンラインで開催され旅費を抑えることができたため、結果として次年度に繰り越す予算が生じた。次年度は、 グラフェン合成やペロブスカイト太陽電池を作製するための消耗品、国内・国際学会旅費および論文投稿料などに使用する。
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