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2021 年度 実施状況報告書

グラフェン電極による有機無機ペロブスカイト太陽電池の多機能化

研究課題

研究課題/領域番号 20K05268
研究機関兵庫県立大学

研究代表者

藤井 俊治郎  兵庫県立大学, 工学研究科, 准教授 (80586347)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワードグラフェン / ナノカーボン / 透明電極 / 有機無機ペロブスカイト / ペロブスカイト太陽電池
研究実績の概要

昨年度は、大気圧化学気相成長(CVD)装置を新たに立ち上げ、ニッケル基板および銅基板上に多層グラフェンをCVD成長させることに成功した。令和3年度は、グラフェンの合成技術を推し進めるため、目的の形状のグラフェンを目的の場所に簡便に直接成長させる手法の開発を行った。まず、原料ガスのメタンの流量を変化させることにより、銅薄膜/SiO2/Si基板上にグラフェンが成長する条件を見出した。さらに、SiO2/Si基板上にあらかじめパターニングした銅薄膜を作製し、グラフェン成膜を行った。ラマンマッピング測定の結果から、パターニングした形状のどおりに多層グラフェンが成長していることがわかった。パターニング銅薄膜上のみにグラフェンが成膜される性質を利用することで、位置選択的にグラフェンを直接成長可能な手法を実証した。
ペロブスカイト太陽電池においては、昨年度に引き続きデバイスシミュレーションを行い、新規正孔輸送材料を検討した。1次元デバイスシミュレーターを用いたペロブスカイト太陽電池の性能のシミュレーション結果から、p型半導体である亜酸化銅(Cu2O)を正孔輸送層に適用できる可能性を明らかにした。また、実際に銅基板を電気炉で熱酸化することにより、Cu2O薄膜を作製することに成功した。一方、銅基板の熱酸化によるCu2O作製を試みる過程で、酸化銅(CuO)ナノワイヤーの形成が確認された。この酸化銅ナノワイヤーの構造を顕微ラマン分光法と電子線後方散乱回折法により詳細に調べた結果、幅の太い領域においてCu2O/CuOヘテロ接合が形成されるという新たな知見が得られた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

グラフェン合成技術の開発はおおむね順調に進展しているが、ペロブスカイト太陽電池の作製に関して研究が遅れている。研究開始当初は、ペロブスカイト太陽電池の作製を外部共用施設で行うことを想定していた。新型コロナウイルスの世界的まん延により、昨年度に続き令和3年度も外部共用施設での実験が困難であった。そのため、最終年度となる令和4年度は、研究方針を見直して研究を進める。

今後の研究の推進方策

令和4年度は、昨年度までに開発した技術を用いてグラフェンを合成し、グラフェン上に液相プロセスによる有機無機ペロブスカイトの作製を試みる。グラフェンとペロブスカイトのヘテロ接合形成を試み、その基礎物性を調べる。有機無機ペロブスカイトを太陽電池だけでなく光センサーなどへ応用することも検討する。これと並行して、色素増感太陽電池などの有機系太陽電池の作製を行う。電極にグラフェンを用いた有機系太陽電池を試作し、グラフェンの太陽電池電極への応用可能性を探る。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2021 その他

すべて 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件) 備考 (1件)

  • [学会発表] 熱酸化法により作製した酸化銅ナノワイヤーにおけるCu2O/CuOヘテロ接合の観測2021

    • 著者名/発表者名
      森下 裕貴、藤井 俊治郎、本多 信一、久保 利隆、清水 哲夫
    • 学会等名
      2021年日本表面真空学会学術講演会
  • [学会発表] Large-scale dispersion of long and isolated single-wall carbon nanotubes2021

    • 著者名/発表者名
      S. Fujii, T. Nakanishi, S. Honda, Y. Oka, Y. Kuwahara, T. Saito
    • 学会等名
      New Diamond and Nano Carbons 2020/2021
    • 国際学会
  • [備考] 兵庫県立大学:藤井俊治郎

    • URL

      https://www.eng.u-hyogo.ac.jp/faculty/fujii/index_ja.html

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公開日: 2022-12-28  

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