近年、複数金属で構成されるコンポジットナノ粒子は、単一金属ナノ粒子にない触媒能を示すことが報告されている。コンポジットナノ粒子の高い触媒能は、粒子を構成する金属元素間の電荷移動が関与すると考えられている。これは、触媒能の発現に、ナノ粒子を構成する元素の配置(ナノ構造)が大きく影響することを強く示唆している。しかし、コンポジットナノ粒子の触媒能発現とナノ構造の相関については、ほとんど研究されていない。その一因として、ユニフォームにナノ構造を規定したコンポジット粒子を作製することの困難さが挙げられる。 一般的なコンポジットナノ粒子の作製方法は、液相中に2種類の金属イオンを、凝集抑制剤存在下で還元する手法が挙げられる。簡便にコンポジット材料を調製できるが、ナノ構造はイオン化傾向に依存する。それ以外のナノ構造を持つナノ粒子作製には多くの検討と工夫を必要とし、任意のナノ構造で規定されたナノ粒子を簡便に作製する技術はいまだ途上にある。 本研究では、蒸発濃縮法によりユニフォームなコンポジットナノ粒子を作製すること、および得られたナノ粒子を用いて触媒活性を評価することを目的として研究を行った。 電気炉を2台連結させた二重蒸発濃縮法を用いることで、合金型ナノ粒子の作製に成功した。さらに、電気炉での加熱温度を変化させるだけで、ナノ粒子中に含まれる金属のモル分率を任意に変化させることにも成功した。また、得られた合金型ナノ粒子についてCO酸化反応における触媒活性を評価したところ、単一金属ナノ粒子よりも高い活性を示すことが明らかになった。この研究のポイントは、ナノ粒子合成から触媒反応に利用出来る状態まで、ワンステップで作製可能であることが挙げられる。これにより、コンポジットナノ粒子における触媒活性評価のスクリーニングにも利用可能であると考えられ、触媒能の評価にも非常に有効な手段となりうる事が期待できる。
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