研究課題/領域番号 |
20K05289
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
笹子 勝 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 客員研究員 (40727145)
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研究分担者 |
平井 義彦 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (50285300)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 3次元リソグラフィ / 位相振幅 / フォトマスク / フォトリソグラフィ / 3次元構造 |
研究実績の概要 |
位相変調マスク(ビルトインレンズマスク)の最適化システムのアルゴリズム設計、プログラミング、動作確認を行った。これを用いて、位相と透過強度を2値化した位相変調マスクの設計を試み、得られる3次元光強度分布の予測と、アルゴリズムの検証を行った。 最適化アルゴリズムとして、必要とする三次元像の強度分布を、微小なシードパターン(種パターンの集合)に分割し、個々のシードパターンを転写するためのマスクの複素透過率分布を求めた。これらを全てのシードに対して計算し、マスク面条での複素振幅の和を計算した。 この複素振幅を通して投影された3次元像を計算し、目標とするの3次元像強度との比較を行い、シードパターンの光強度と位相を逐次修正するフィードバック方式により、目標とする3次元像が得られるまで繰り返し計算を行うシステムを構築した。 このシステムを用いて、数種類の典型的な3次元構造の結像状態のシミュレーション予測を行った結果、リング状パターンや空中交差パターンなどの複雑な構造では、人的なアシストが必要である見込みが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
3次元結像を実現するためには、マスクの複素振幅分布の設計が要となる。通常の2次元パターンでは、近接効果補正や位相シフトパターンの発生が自動化されているが、3次元構造の結像に対しては、結像状態は原理的にも異なり、従前の手法は適用できない。加えて、3次元空間の事象を補正修正するには、人力で複素振幅分布を設計する必要があり、限界がある。そのため、自動的にマスクの複素振幅分布を設計するシステムが必要となる。 今回、半自動の計算機システムを、簡便なフィードバックシステムにより構築し、その有効性をシミュレーションにより検証し、マスク設計が大幅に自動化されることがわかった。一方で、マスク作製への負担を軽減するため、複素振幅を強制的に二値化したため考えられる解像性の限界も垣間見られ、最適化に限界があることも分かってきた。 今回は、比較的良好な3次元像が得られるいくつかの単純構造での検証を進めるため、実際のマスク設計とマスクの施策に着手することができた。
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今後の研究の推進方策 |
作製したマスクによる結像実験結果を行うために、露光実験系の構築と基本性能の検証を行う。引き続き、3ン次元像の結像実験を行い、シミュレーションとの比較を進め、3次元結像性の検証を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
出席を予定していた国際学会が、リモート開催となったためと、予定していたマスク作製費用が軽減されたため。 いずれも、次年度に執行する。
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