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2022 年度 実施状況報告書

エクソソームが誘導する筋組織委縮メかニズムの解明

研究課題

研究課題/領域番号 20K05294
研究機関東京電機大学

研究代表者

茂木 克雄  東京電機大学, 工学部, 教授 (20610950)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2024-03-31
キーワードエクソソーム / イオン濃度分極 / イオン枯渇領域 / イオン交換膜 / マイクロ流体デバイス / exosome / ion depletion zone / microfluidic device
研究実績の概要

本研究では、エクソソームが骨格筋に疾患因子を伝達する動的現象を捉えようとしており、最終的にはがん悪液質の発症メカニズムを解明しようとしている。
本年度は、昨年考案したElectro Wetting On Dielectric(EWOD)を取り入れたマイクロ流体技術により血管周辺の細胞組織を模擬したシステムの開発を進めた。細胞培養については、独自に考案した凹凸構造を有するマイクロ流体デバイスを使用し、血管内皮細胞を流路内に整列固定させて培養することに成功した。この培養方法では、細胞のサイズソーティングや、流路内固定、培養液の送液、試薬の導入の全てを、流路の出入口に滴下した液体の水頭差のみで行えるようにしている。そのため、シリンジポンプなどの機器を流路に取り付ける必要がなく、システムをコンパクトにできる上に、機器脱着によるコンタミネーションも防げる。さらに本年度は、細胞培養液や検査薬を流路の出入口に滴下するための装置の開発も進めた。この装置は、ロボットアームと電動マイクロピペットで構成されており、Wifiによる無線通信で操作できるため、培養細胞を扱う研究分野で最も大きな課題であった研究者の手技による煩雑な作業の自動化が可能である。これにより、調製試薬の品質が担保されるため、人的エラーを抑制した実験の解析結果が自動かつ大量に得られるようになる。この装置をシステムの基礎に据えることで、来年以降の研究を加速させていく。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

当該年度は、所属機関が変わったため実験環境を一から構築する必要があった。そこで、デバイス開発で必要となる高精度微細加工や無塵室内プロセスについては、微細加工の設備を一般開放している4大学ナノ・マイクロファブリケーションコンソーシアムのクリーンルームを利用して研究を進めた。また、生命科学実験やロボット開発については、京都薬科大学や一関高専の研究者の助力を得ることで進めることができた。これらの学外協力により、単独では実現できなかった技術開発が可能になり、所属機関の変更による遅延の影響を極力抑えることができた。結果として、新所属機関の実験環境を整備しながら、研究を進めることができた。

今後の研究の推進方策

ロボットとEWODによる液滴操作技術については、本年度に引き続き外部施設を利用していくことで、実験項目の修正や変更をすることなく研究を遂行する。また現在、所属機関内に細胞培養実験の環境を整備しており、研究環境が構築され次第、細胞組織を用いた実験を進めて研究を加速させていく。

次年度使用額が生じた理由

当該年度は、所属機関が変わったため実験環境を一から構築する必要があった。そこで、本研究の最終成果を達成するための戦略として、新所属機関の研究環境整備を優先させたため、計画の一部を次年度に持ち越した。次年度は、所属機関内の実験環境で、細胞組織を用いた実験を実施していく。そのため、次年度の細胞培養実験に研究予算を使用する計画を立てている。

備考

日刊工業新聞社(2022年9月22日) 深層断面/「簡単な細胞培養」に挑む モノづくり企業が開発加速
https://www.nikkan.co.jp/spaces/view/0067141

  • 研究成果

    (10件)

すべて 2022 2020

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 2件、 招待講演 1件) 産業財産権 (2件) (うち外国 1件)

  • [雑誌論文] MICROFLUIDIC SIMULATIONS OF DROPLET MOTION ON STRUCTURED SOLID SURFACE USING PHASE-FIELD LATTICE BOLTZMANN METHOD2022

    • 著者名/発表者名
      Takada Naoki、Mogi Katsuo、Takaki Tomohiro、Someya Satoshi、Baba Soumei、Saito Shimpei
    • 雑誌名

      Multiphase Science and Technology

      巻: 34 ページ: 17~33

    • DOI

      10.1615/MultScienTechn.2022043657

    • 査読あり
  • [学会発表] ロボットによる分注自動化のための電動ピペット用チップ着脱デバイスの開発2022

    • 著者名/発表者名
      藤原 康宣、戸谷 一英、菊池 華央、上野 裕太郎、佐賀 駿麿、八重樫 温人、木村 寛之、茂木 克雄、鎌田 智也、小此木 孝仁
    • 学会等名
      第39回「センサ・マイクロマシンと応用システム」シンポジウム講演論文集
  • [学会発表] 数値流体力学シミュレーションによる微細加工表面濡れ性評価2022

    • 著者名/発表者名
      高田 尚樹、茂木 克雄、高木 知弘、相原 慎太郎、染矢 聡、馬場 宗明、齋藤 慎平
    • 学会等名
      日本機械学会関東支部第29期総会・講演会
  • [学会発表] EWODを用いた微量放射性医薬品の自動調製技術2022

    • 著者名/発表者名
      茂木 克雄、木村 寛之、高田 尚樹
    • 学会等名
      第34回日本臨床微生物学会総会・学術集会
    • 招待講演
  • [学会発表] 微細加工表面上における液滴挙動のフェーズフィールドモデルシミュレーション2022

    • 著者名/発表者名
      高田 尚樹、高木 知弘、茂木 克雄、染矢 聡、馬場 宗明、齋藤 慎平、相原 慎太郎
    • 学会等名
      第35回計算力学講演会(CMD2022)
  • [学会発表] Microfluidic technology for making string-like cell tissues2022

    • 著者名/発表者名
      Katsuo Mogi, Hiroyuki Kimura, Naoki Takada
    • 学会等名
      11th IEEE CPMT Symposium Japan (ICSJ2022)
    • 国際学会
  • [学会発表] 微細構造固体表面上における液滴挙動のフェーズフィールドモデルシミュレーション2022

    • 著者名/発表者名
      高田 尚樹、高木 知弘、茂木 克雄、染矢 聡、馬場 宗明、齋藤 慎平
    • 学会等名
      日本混相流学会
  • [学会発表] Microfluidic Multiphase Flow Simulation Using an Advanced Diffuse-interface Model-based Method2022

    • 著者名/発表者名
      Naoki Takada, Katsuo Mogi, Tomohiro Takaki, Shintaro Aihara, Satoshi Someya, Soumei Baba, Shimpei Saito
    • 学会等名
      15th World Congress on Computational Mechanics (WCCM-XV) and 8th Asian Pacific Congress on Computational Mechanics (APCOM-VIII)
    • 国際学会
  • [産業財産権] 放射性組成物の製造方法2020

    • 発明者名
      茂木 克雄、足達 俊吾、井上 朋也、夏目 徹、木村寛之
    • 権利者名
      国立研究開発法人産業技術総合研究所、京都薬科大学
    • 産業財産権種類
      特許
    • 産業財産権番号
      特許査定済
    • 外国
  • [産業財産権] 開放空間型の液体操作装置2020

    • 発明者名
      茂木 克雄、足達 俊吾、井上 朋也、夏目 徹
    • 権利者名
      国立研究開発法人産業技術総合研究所
    • 産業財産権種類
      特許
    • 産業財産権番号
      特許第7253845号

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公開日: 2023-12-25  

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