研究課題
FeRhPd合金の相転移について、ロシアのモスクワ大学との共同研究を進めてきた。Pdのドープによって結晶格子が膨張したことにより、磁気転移温度の低下との関連性が示唆され、より詳しい解析と議論を行った。この結果を2022年7月のXAFS国際会議で発表した。また、2023年7月のナノ材料の国際会議で発表予定である。さらに、SrTiO3の低温での相転移に関して、ラトビア大学との共同研究の中で、重酸素置換したTi-OのDebye- Waller因子に異常な振る舞いが発見された。これに対して、我々が以前行った経路積分法による理論研究に基づいた2重井戸型ポテンシャルモデルを用いた解析を行なった。(現在論文準備中)本課題と関連して、最近注目されている鉄系超伝導体の一種であるFeTeSe超伝導体の相転移についても同様なメカニズムで相転移が進んでいるのではないかと思われる現象を発見し、予備的なXAFS測定に着手した。さらに、本研究と関連するXAFSによるナノ粒子の構造と相転移に関する研究をつくばの高エネルギー加速器研究機構の放射光研究施設で推進し、富山大学との共同研究として遂行した。カーボンナノチューブ(CNT)に内包されたカルコゲン元素(S)の構造を解析した。新たにX線検出系を開発し、S-K端の透過法EXAFSの温度依存性を詳細に測定できるようになった。同系列の研究でCNTに内包されたSe鎖の構造についてのXAFS結果については論文にまとめ、現在投稿中である。
2: おおむね順調に進展している
コロナ感染拡大のためにRMCに関するラトビア大学との共同研究にやや遅れが生じているが、そのほかSrTiO3に関する局所歪の解析や、FeRhPdのXAFS解析については順調に進んでいる。
今後は、引き続き放射光を用いたXAFS測定実験を行い、実験データを解析するとともに、リバースモンテカルロ法や多重散乱法を用いた理論解析を行う予定であ る。また、現在執筆中の論文を仕上げるとともに、国際会議での発表を行う。
コロナ感染拡大のため海外での共同研究、主にラトビア大学との共同研究が進まなかった。次年度の使用計画としては、RMCに関するラトビアやスペインとの共同研究を進めるとともに、これまで得られた結果を国際会議で発表を行なう。
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