本研究は静磁波を利用した高周波共振器の実現を目指して実施された。静磁波共振器の実現には静磁波を反射する機構が必要不可欠であり、本研究ではNiFe/IrMn界面に生じるExchange Biasを利用することで静磁波反射器を提案する。スパッタ法を用いて熱酸化膜付Si基板上にNiFe(10 nm)/IrMn(30 nm)を形成し、磁気特性や交換バイアス磁界のIrMn膜厚依存性などを評価した。また電子線リソグラフィーを用いて共振構造を形成し、強磁性共鳴スペクトルの観測を行った。静磁波励起に伴うスペクトルは観測されなかったが、試料の作製、加工および評価の段階で改善すべき課題を明確にすることができた。
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