慶應大のグループはSTO(001)基板上にPd超薄膜を成膜し、基板を含めた試料の磁化測定からある特定の膜厚でPdに強磁性が発現すると結論付けた。しかし、試料には大きな常磁性成分があり、また磁性不純物も混入する可能性があるため、Pd超薄膜のスピン分布を直接観察することが望まれていた。STO基板上に原子レベルで平坦なPd超薄膜を成膜することはできなかったが、Cu(001)基板上に形成することに成功し、スピン偏極STMでPd薄膜を観察し、スピンに依存すると考えられるコントラストを得た。Pd薄膜が強磁性を発現したと結論付けることはまだできないが、データの蓄積を進めることで結論を導くことが可能である。
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