• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2020 年度 実施状況報告書

シリコンキャップアニールによるSiC表面の制御とシリサイドレスコンタクトの研究

研究課題

研究課題/領域番号 20K05328
研究機関広島大学

研究代表者

花房 宏明  広島大学, 先進理工系科学研究科(先), 助教 (70630763)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワード炭化ケイ素 / オーミックコンタクト / 表面欠陥
研究実績の概要

本研究では炭化ケイ素(SiC)半導体上に非晶質シリコン(amorphous-Si: a-Si)層を堆積し、熱処理する“シリコンキャップアニール(Silicon Cap Annealing: SiCA)”によりSiの融点をはるかに下回る温度でSi層がドット化し、さらにはシリサイド化を行わなくとも金属をSiCに接触させるだけでオーミックコンタクトが形成される特異な現象の研究を推進している。
初年度ではSBDの電流―電圧特性をThin-Surface-Barrier (TSB) モデルを用いて解析し、抽出したSiC表面に導入された欠陥と電極側から見た実質的なポテンシャルバリアーのSiCA温度依存性を調査した。その結果、最高到達温度Tmax= 800℃より表面に欠陥が導入され、Tmax= 1100℃を超えると10^19乗後半の多量の欠陥が表面に導入され、それに伴いエネルギー障壁高さが大きく減少していることが分かった。また、支配的な電気伝達機構であると考えているトンネル電流のトンネル電流プロファイルと伝導帯のエネルギーバンドの解析により、トンネル確率が増大し始めるエネルギーが約0.74 eVで、0.77 eVを中心としてトンネル電流が流れていることが分かった。このことからSiCAによって4H-SiC表面に10^19 cm-3を超える欠陥が導入され、表面ポテンシャルが薄く急峻になることでオーミックコンタクトが形成されていることと考えられる。
また、SiCAの加熱時間をミリ秒オーダーにすることで、直径50 nm以下のSiドットが得られることが分かった。今後は数nm程度の直径まで形成できる可能性について検討し、評価を進めていく。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

本研究ではSiC上にアモルファスシリコン(a-Si)層を堆積した後にアニール処理を行うシリコンキャップアニール(SiCA)の過程を経ることでなぜSiCに対してオーミックコンタクトが形成されるのかを究明することを目的に、Siドットの大きさと形状の制御方法獲得とドット化に伴いSiC表面状態の理解を全体の計画とした。
研究初年度においてはSiCAによりa-Si層のドット化調査とSi/SiC界面におけるエネルギーバンドオフセットの推定を行った。その結果、SiCA処理において 1100℃を超えると10^19乗後半の多量の欠陥が表面に導入され、それに伴いエネルギー障壁高さが大きく減少していることが分かった。また、支配的な電気伝達機構であると考えているトンネル電流のトンネル電流プロファイルと伝導帯のエネルギーバンドの解析により、トンネル確率が増大し始めるエネルギーが約0.74 eVで、0.77 eVを中心としてトンネル電流が流れていることが分かった。これはTE理論で求めた結果とおおよそ一致する。一方、SiCAを1280 ℃で行ったサンプルにおいてはトンネル確率が上昇し始めるエネルギーが0.28 eVとなり、トンネル電流の中心エネルギーは0.30 eVとなった。すなわち、SiCAの最高到達温度が増加していくことでSiCの表面から数 nmの領域で多量の欠陥が導入され、電流密度が増大し、オーミックコンタクトが形成されていることが示唆された。
しかしながら初年度の目標としたSiドットの形成とその制御に関しては微小なSiドットが形成できることが分かったものの、直径50 nm以下のサイズも得られたが、同時に100 nmを超えるものも混在し、サイズの均一性が乏しいという結果を得た。

今後の研究の推進方策

令和3年度では初年度に引き続きSiドットのサイズ制御とSiCA処理後のSiC最表面構造の特定の研究を推進する。ドットサイズの制御に関しては、これまで最高到達温度を主軸に研究を行ってきたが、今後は処理時間と昇温・降温時間の制御を追加し、表面エネルギーとSiドットのマイグレーション長を調査し、数nm程度のドットを形成できるように研究を推進する。
また、SiCA処理後のSiC表面の解析に関しては、原子間力顕微鏡による構造評価やDLTSや発光分光により電気的・光学的に欠陥評価を行う。これらにより、欠陥種の特定とその構造の特定を行っていく。

次年度使用額が生じた理由

学会がオンラインで実施され、旅費としての計画費を実験消耗品費等に転じて使用したが、残額が生じたため、次年度へ繰り越すこととした。次年度において消耗品購入費として計画する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2020

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] シリコンキャップアニールを行った4H-SiC表面の電気 伝導機構の解析2020

    • 著者名/発表者名
      花房 宏明、 東堂 大地、 東 清一郎
    • 学会等名
      81回 応用物理学会 秋季学術講演会

URL: 

公開日: 2021-12-27  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi