本研究は、表面構造の解析法として菊池パターンを用いる新たな測定手法の確立を目的として実施した。菊池パターンは非弾性散乱により形成された二次的入射波が種々の方向から入射し、各格子面からの回折波により直線状または曲線状の像を形成したものであるため、入射条件を変化させて測定して得られる多くの情報を含んでいる。種々の回折条件における情報は非弾性散乱確率を知ることで1枚の菊池パターンから求めることができる。そこで、菊池パターンの強度と動力学的な回折強度計算の結果を比較したところ、表面波共鳴条件が起こる菊池エンベロープで表面プラズモンの散乱断面積が著しく増大することを見出した。
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