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2020 年度 実施状況報告書

Multi-shotフラッシュランプアニーリング法による界面及び金属結晶性の向上

研究課題

研究課題/領域番号 20K05334
研究機関関東学院大学

研究代表者

盧 柱亨  関東学院大学, 総合研究推進機構, 教授 (50313474)

研究分担者 堀内 義夫  関東学院大学, 総合研究推進機構, 講師 (30808879)
本間 英夫  関東学院大学, 材料・表面工学研究所, 顧問 (00064105)
研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワードFlash Lamp Annealing / 無電解めっき法 / フレキシブル樹脂フィルム / 金属微細パターン / 銅の結晶性改善
研究実績の概要

将来、ウェアラブルデバイスなどの電子回路基板材として応用可能なフレキシブルフィルムの中で、LCP(Liquid Crystal Polymer)、COP(Cyclo Olefin Polymer)に加え、高機能熱可塑性樹脂であるPEEK(Poly Ether Ether Ketone)フィルムにも無電解銅めっきと電気銅めっきによる微細パターンを安定的に形成させることに成功し、Multi-shot FLA(Flash Lamp Annealing)の最適な条件(パルス光の照射距離、パルス幅、Multi-shotの周波数など)の範囲を見出すことができ、無電解めっき金属薄膜の強い密着性が得られる最適条件を見極めている。
さらに発想を変えて、裏面からのFlash Lamp光の照射を試みたところ、表面への照射に比べて約60~80%ほどのアニーリング効果があることがわかり、Flash Lamp光を表面と裏面に同時照射することによりアニーリング効果の極大化の可能性を見出すことが出来た。
また、高速での信号伝送特性の向上にも寄与できるように銅の結晶性を大きくするため、FE-SEM(Scanning Electron Microscope)による表面状態(平滑性)とEBSD(Electron Back Scatter Diffraction)によりGrain sizeの肥大化について詳しく調べているが、無電解銅めっき被膜にはその傾向が確認できたくらいにとどまり、今後さらなる研究が必要である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

今年度中に計画していた、COP、LCPフィルム上の微細パターンの形成が安定的にできるようになり、新たに高機能熱可塑性樹脂であるPEEK材の新規開発品(Ex-PEEK)の表面にも無電解銅めっきと電気銅めっきによる微細金属パターンの形成も可能となった。
しかし、銅の結晶性を改善(肥大化)をの調べは、少々遅れ気味であるが、EBSDの測定の結果、無電解銅めっき薄膜の結晶が大きくなる傾向がわかったので、銅の結晶が伸びやすい<111>方向と信号を転送する方向を一致させると、より高速で信号を送ることが出来るのではないかと考えられる。
一般的には、めっき添加剤により銅の結晶性を制御する方法もあるが、出来る限り純粋な銅結晶が望ましく、不純物にもなる添加剤を用いず、Flash Lamp光による効果のほうが有効的である。
今年度の研究予定ではなかったが、透明フィルムは光を通すため、そのエネルギーは伝わるのではないかと発想の転換により、裏面からのFlash Lamp照射で約70~80%ほどのアニーリング効果を確認できた。
即ち、表面と裏面の同時照射するなど新しいFlash Lamp光の照射方法を開発・適用することにより、更なる効果が得られると期待される。

今後の研究の推進方策

今後は、最適化されたパラメータに基づき、Multi-shot 周波数を固定/可変、パルス幅の固定/可変、照射距離を固定/可変など複数のパラメータの組み合わせを試みる予定であり、フィルム基板と銅薄膜との界面の平滑性を確保できる技術を確立する。
さらに、少し遅れ気味ではあるが、金属結晶の巨大化や結晶が伸びる傾向をSEMによる結晶解析EBSD(Electron Back Scatter Diffraction Patterns)測定により調べながら銅薄膜内の結晶性改善を極める予定である。
また、透明フィルムの光を通す物性から着目し、裏面からのFlash Lamp光の照射にも効果的であることが確認されたため、今年度に購入を予定していたMulti-shot Flash Lampユニットの購入を見送り、Flash Lamp光の照射方向を工夫するとともにサンプルの裏面からも照射できるステージへの改造により、アニーリング効果の向上を図る。
この改造作業の効率化のためにMulti-shot FLA装置を寄贈してくださったウシオ電機と相談しながら進めていく予定である。

次年度使用額が生じた理由

本研究の遂行中に生まれたアイディアにより、透明フィルムの裏面からのFlash Lamp光照射も効果的であることがわかったので、「Multi-shot フラッシュランプユニット(カスタマイズ仕様)」の購入を見送り、次年度に購入を予定している「光照射範囲拡大ステージ」との組み合わせて仕様と設計を一緒に変更して購入することが有効的であると判断された。
そのため、Multi-shot フラッシュランプユニットの購入を延期し、次年度中に光照射範囲拡大ステージと一緒に購入する予定である。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2021 2020

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)

  • [雑誌論文] 無電解めっきによるPEEK樹脂へのレジストレス微細パターニング2021

    • 著者名/発表者名
      信夫 勇佑、堀内 義夫、盧 柱亨、本間 英夫、荒川 太郎
    • 雑誌名

      電子情報通信学会論文誌 C

      巻: J104-C ページ: 90-94

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] フラッシュランプアニーリング処理が銅皮膜の電気伝導性に及ぼす影響2020

    • 著者名/発表者名
      石井智之、盧 柱亨、本間英夫、渡邊充広
    • 雑誌名

      材料の化学と工学

      巻: 57 ページ: 98-105

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] Resistless fine patterning on PEEK resins by electroless copper plating2021

    • 著者名/発表者名
      Yusuke Shinobu, Yoshio Horiuchi, Joo-Hyoung Noh, Osamu Takai, Hideo Honma, and Taro Arakawa
    • 学会等名
      The 9th International Symposium on Materials Science and Surface Technology (MSST2020)
    • 国際学会
  • [学会発表] Advanced materials and advanced surface engineering for electronic devices2020

    • 著者名/発表者名
      Joo-Hyong Noh
    • 学会等名
      Catholic Kwandong University
    • 招待講演

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公開日: 2022-12-28  

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