高移動度透明電極の作製指針を得るため、酸化インジウム半導体のドーピング現象について研究した。添加した不純物の種類により電子濃度と移動度の挙動は変化し、各種評価装置を用いてその要因を解明した。特に、CeとHを共添加した薄膜は、一般的なITO薄膜よりも顕著に高い移動度を実現する。その要因は、電子の有効質量が軽いことではなく、電子の散乱が効果的に抑制されていることが判明した。Ceは酸素との解離エネルギーが高く酸素空孔の生成を抑制し、またInとのイオン半径の近さによりCe添加による格子歪も抑制され、さらにCe 4f準位がフェルミエネルギーより高く自由電子との相互作用も抑制されると考えられる。
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