研究課題
多元系化合物半導体は未知なる可能性を秘めた材料群であり、その積層構造による電子・光デバイスは、高機能化のみならず、製品製造・使用時における低環境負荷化に多大な貢献ができる。しかしながらデバイス応用のための積層構造を作る際に、構成元素同士が容易に熱拡散するため、急峻なヘテロ界面を得ることは難しい。そこで本研究の目的は急峻な多元系化合物半導体ヘテロ界面形成に関する学理を構築し、高効率な太陽電池等を実現させることが目的である。最終年度である2023年度はワイドギャップI-III-VI族系化合物(高Ga濃度Cu(In,Ga)Se2(CIGS))を作製し、ドイツHZBにて結晶学的特性を評価した。MBE法にて、GaAs基板上に高Ga組成CIGS薄膜を堆積させ、原子層堆積法(ALD)にて、ZnSnO薄膜を堆積させた。その後、スパッタ法にてZnO窓層を堆積させ、太陽電池構造とした。比較用に多結晶CIGSをガラス基板上に成膜させた。ドイツHZBにて多結晶CIGS薄膜の断面SEM-EDX、カソードルミネッセンス測定を行ったところ、CIGS層内に高In組成CIGS層が形成されることがわかった。これは光によって生成された電子が、高In組成CIGS層に閉じ込められ、太陽電池特性の高効率化を抑制させている。一方、GaAs基板上の高Ga組成CIGS層は、組成均一のワイドギャップCIGS層となっており、裏面にCu(In,Ga,Al)Se2層を形成することで、変換効率13.9%が達成された。この変換効率は世界最高の成果である。研究期間全体で、高効率Epitaxial CIGS太陽電池、III-V族/I-III-VI族ヘテロ界面、ワイドギャップCIGS太陽電池の作製に成功し、世界最高の太陽電池性能を実現させた。
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