赤外光通信波長帯で重合する光硬化性樹脂を開発し、シングルモード光ファイバ間やシリコンフォトニクスにおける自己形成自動光接続に適用した。前年度までに開発した樹脂組成物について、開始剤をさらに改良し、波長1550 nm帯で10 μWの重合しきい値となり、高感度化を実現した。本樹脂材料を用いて、CAN型半導体レーザ光源からの光で樹脂が硬化し、アライメントフリー光ピンを成長させることができた。また、光源とシングルモード光ファイバ間を自己形成自動接続することができた。接続に際しては、光ファイバの出射端面にミラーを配置し、光源からの光のうちファイバに結合された光が端面のミラーで反射されて、樹脂において双方向光照射による自己形成光接続と同等の効果になっている。光源からの出射光のみで自己形成光接続が実現できたことは、今後の光部品接続応用に有意義な成果となっている。 さらに本樹脂の光硬化性を調査するため、波長1700 nmのファイバレーザを用いて自己形成光導波路が作製できるか調査した。重合しきい値250 μWで自己形成光導波路が成長した。一般に波長多重通信等で使用される光通信波長帯は、最大波長のUバンドで1675 nmである。1700 nmで1 mW以下の出力で重合できたことは、本樹脂は、光通信波長帯を全てカバーする光硬化性樹脂として、波長多重通信におけるモジュール作製に有効であることが明らかとなった。 今後はシリコンフォトニクスのような細線光導波路の自動光接続に応用できれば本樹脂や自己形成光導波路技術のより効果的な展開ができる。
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