研究実績の概要 |
軟X線領域のアト秒ストリーク法を開発するため高エネルギーの光電子運動量イメージング装置と磁気ボトル型の飛行時間光電子分光器の開発を行ってきた。最終年度では磁気ボトル型の光電子分光器において軟X線高次高調波によるアルゴン、クリプトン、キセノン原子の内殻光イオン化過程に伴う光電子とその後起こるAuger過程によるAuger電子スペクトルを明瞭に観測することに成功した。このことはアルゴン原子のL-shell,クリプトン、キセノン原子のM-shell領域での光電子-Auger電子分光が可能になったことを意味しておりアト秒物理において大きな展開が期待される。研究開始当初は放出角度も決定可能な運動量イメージング装置の方が磁気ボトル型の飛行時間型光電子分光器よりアト秒領域の分光で優位性を有していると考えていたが性能比較を行ったところ、磁気ボトル型分光器の方がエネルギー分解能、ノイズの点で優れている部分も存在することが判明した。今後はそれぞれの持ち味を生かしたアト秒領域の電子分光研究を展開したい。 研究期間全体としては軟X線領域の高調波を用いた研究においてボトルネックであり本研究の最も大きな目的である幅広い立体角にわたって一挙に測定が可能な分光器を新規に開発しこの困難を克服する試みに成功したと言える。 またアト秒ストリークスペクトルから高次高調波の電場を再構成するアルゴリズムの開発に着手しておりSFAを用いた再構成プロブラムを開発した。
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