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2020 年度 実施状況報告書

周期構造の非伝搬モードによる量子ドットのプラズモン発光増強と白色レーザーへの応用

研究課題

研究課題/領域番号 20K05359
研究機関三重大学

研究代表者

元垣内 敦司  三重大学, 工学研究科, 准教授 (00303751)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワード伝搬型表面プラズモン / 非伝搬モード / 量子ドット / 発光増強 / 白色レーザー / 光吸収 / 金属回折格子 / 完全吸収体
研究実績の概要

本研究では青レーザー光と緑、赤色で発光する量子ドットと金属回折格子の相互作用である表面プラズモン共鳴を利用した白色レーザーを実現することを最終目標として研究を行う。本研究ではこの目標に対し、金属回折格子に光を垂直入射させた時の非伝搬表面プラズモンモードに着目し、①金属回折格子における非伝搬モードの表面プラズモン共鳴の存在を明らかにすること、②非伝搬モードを用いた量子ドットのプラズモン発光増強の実現、③非伝搬モードを用いた量子細線構造のプラズモン発光増強を用いた白色レーザーへの応用を目的として研究を行う。
このうち、令和2年度ではシミュレーションにより金属回折格子における非伝搬モードの表面プラズモン共鳴の存在を明らかにすることができた。厳密波結合解析法(RCWA法)と時間領域差分法(FDTD法)を用いて銀と電子線レジストからなる2層型ワイヤーグリッド構造において、450nmや405nmの光を垂直に入射したときの反射率、透過率、磁場分布などを調べ、磁場分布から伝搬しない表面プラズモン共鳴(非伝搬モード)の存在を示すことができた。
また、銀と電子線レジストからなる2層型ワイヤーグリッド構造を利用した表面プラズモン共鳴に関する派生技術として、450nm、405nm、375nmの光が完全に吸収できる条件をシミュレーションと実験から明らかにすることができた。
本年度は実験で非伝搬モードの存在を確かめることができなかったので、次年度の課題として行うと共に、量子ドットの発光を行うためには金属回折格子構造への強い光吸収が必要なので、非伝搬モードと完全吸収条件の2点を考慮して発光素子の構造を検討していきたいと考えている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

コロナ禍で電子線描画などを用いて銀の2層型ワイヤーグリッド構造の試料作製を行う実験が思うように進まなかったので、今年度はシミュレーションで非伝搬モードが発生する条件を見出すことを中心に行った。実験による非伝搬モードの実証は次年度に行いたいと考えている。一方、派生技術として銀の2層型ワイヤーグリッド構造による表面プラズモン共鳴を用いて特定の波長の光を完全に吸収する条件をシミュレーションと実験で明らかにすることができたので、この技術も取り入れながら、デバイス構造を検討したいと考えている。
一方、InP/ZnS量子ドットの発光特性は蛍光顕微鏡での観察はできたが、銀の2層型ワイヤーグリッド構造の試料作製ができなかったため、発光スペクトルの評価ができなかった。これを行うために必要な装置類を準備することができたので、今年度中に発光特性評価装置を作製し、発光特性評価もできるようにする予定である。

今後の研究の推進方策

本年度に実施できなかった銀の2層型ワイヤーグリッド構造における非伝搬モードの表面プラズモン共鳴の存在の確認を実験で実証することを、次年度の最優先課題として行う。また、本年度の研究で銀の2層型ワイヤーグリッド構造を用いた特定波長の完全吸収体を実現することができたので、この技術も活用しながら、発光素子作製に必要な構造を検討する。
また、InP/ZnSコアシェル型量子ドットの発光特性及び発光増強条件を調べるために発光特性評価装置を作製し、発光特性評価を行う予定である。

次年度使用額が生じた理由

コロナ禍で予定していた実験が進まず、シミュレーション中心の研究になってしまったことと学会等の行事が全てオンライン開催だったため、物品費と旅費の執行が大幅に減少し、次年度使用額が発生した。次年度も旅費の執行がほとんどできないと思われるので、今年度執行が少なかった物品費で実験に関する物品を購入して執行する。

  • 研究成果

    (11件)

すべて 2020 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 2件、 招待講演 1件) 備考 (5件)

  • [雑誌論文] Fabrication and characterization of plasmonic band-stop filter using Ag grating2020

    • 著者名/発表者名
      Motogaito Atsushi、Tanaka Ryoga、Hiramatsu Kazumasa
    • 雑誌名

      EPJ Web of Conferences

      巻: 238 ページ: 05006~05006

    • DOI

      10.1051/epjconf/202023805006

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] Fabrication and characterization of plasmonic band-stop filter using Ag grating2020

    • 著者名/発表者名
      Atsushi Motogaito, Ryoga Tanaka and Kazumasa Hiramatsu
    • 学会等名
      European Optical Society Annual Meeting 2020
    • 国際学会
  • [学会発表] Study on the fabrication and the optical characterization of the nano-order periodic structure2020

    • 著者名/発表者名
      Atsushi Motogaito
    • 学会等名
      The 22nd Takayanagi Kenjiro Memorial Symposium
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] 金属回折格子における非伝搬モードの表面プラズモン共鳴と量子ドットの発光2020

    • 著者名/発表者名
      伊藤 崚汰、平松 和政,、元垣内 敦司
    • 学会等名
      第 81 回応用物理学会 秋季学術講演会
  • [学会発表] 金属回折格子による伝搬型表面プラズモン共鳴を用いた波長板2020

    • 著者名/発表者名
      林 優貴乃、平松和政、元垣内敦司
    • 学会等名
      日本光学会年次学術講演会
  • [学会発表] 二層型ワイヤーグリッド構造における表面プラズモン共鳴を用いた狭帯域可視光完全吸収体2020

    • 著者名/発表者名
      清水清義、平松和政、元垣内敦司
    • 学会等名
      第 68 回応用物理学会 春季学術講演会
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公開日: 2021-12-27  

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