研究課題/領域番号 |
20K05367
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
中村 守里也 明治大学, 理工学部, 専任准教授 (40359071)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | ニューラルネットワーク / 機械学習 / 非線形イコライザ / 非線形波形歪み補償 / 光学非線形 / 光ファイバ通信 |
研究実績の概要 |
機械学習アルゴリズムによる非線形イコライザの高性能化・高機能化については、昨年度に続いて大きな成果が得られた。まず、ニューラルネットワークを用いた非線形イコライザについては、これまで3層のものを主に検討していたが、4層以上のディープニューラルネットワークを用いた場合の特性がこれまで明らかになっていなかったところ、その特性の解析が進んだ。ディープニューラル化することにより、イコライザの関数表現能力は向上すると考えられるが、過学習がより強く出てしまうことが明らかになった。今後、非線形イコライザとして最適なニューラルネットワークの形を明らかにしていく予定である。また、非線形イコライザにおいて過学習が発生する原理についての解析手法の研究についても進展があった。パターン認識などの分野で使用されているヒートマップを用いた手法を応用する手法を提案した。現在はまだ始まったばかりの新しい研究課題であるが、非線形イコライザを解析する新しい手法としてさらに検討を進めている。光学的手法とディジタル信号処理を組み合わせた新方式の研究については、提案方式である位相共役Twin-SSBについてBack to Backでの基礎実験に成功していたが、さらに50kmの光ファイバを用いた実験にも成功した。さらに長距離の伝送と特性の改善を進めているところである。Twin-SSBのテーマについては、非線形歪みの特性解析やKramers-Kronig受信を行った場合の特性解析なども行い、学会発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画していた3つの方向((1)機械学習アルゴリズムによる非線形イコライザの高性能化と最適化、(2)機械学習アルゴリズムによる非線形イコライザの多機能化、(3)光学的手法とディジタル信号処理を組み合わせた新方式の研究)の中で、特に(1)と(3)のテーマにおいて顕著の進捗があった。(1)については4層のディープニューラルネットワークによる非線形イコライザの過学習特性の解析が進んだ。(3)については、光Twin-SSBの実験検討が順調に進展しており、光ファイバ伝送の実験に成功している。 全体としておおむね順調に研究は進展した。
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今後の研究の推進方策 |
現在の研究の方向性で順調に成果が出ているため、このまま更に研究を加速させながら進めていく予定である。特に、研究手法の比重をシミュレーションから実験へと移していく。光Twin-SSBの実験については、順調に軌道に乗っており、さらに非線形イコライザによる偏波追尾についても、理論・シミュレーションによる検討だけでなく実験的検討のフェーズに移していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルスの影響により、学生が研究室へ来ることが難しい期間が生じた。これについては、研究室のPCにリモートアクセスしてシミュレーションを行うことで、研究が遅滞することを防いだ。また、実験室に入る人数を制限しながらも実験方法を工夫するなどして、予定した予算を使用せずに着実に研究成果を得ることができた。予定した国際会議へはまだ現地参加することができず、オンラインの参加となって旅費が使用されなかったが、その分、実験を充実させることができるため、さらに研究が加速される見込みである。
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