研究課題/領域番号 |
20K05384
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
執行 信寛 九州大学, 工学研究院, 助教 (40304836)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | GAGGシンチレータ / 中性子 / エネルギースペクトル / プラスチックシンチレータ |
研究実績の概要 |
GAGGシンチレータには低エネルギー中性子に対して大きな捕獲断面積を有するガドリニウムが含まれる。ガドリニウムの中性子捕獲反応で放出 される即発ガンマ線のエネルギー測定と中性子の飛行時間測定を組み合わせることで、有機シンチレータでは測定が難しい1 MeV以下の中性子 まで測定するシステムを開発し、 核分裂反応からの即発中性子のエネルギースペクトル測定への適用を目指す。本年度は、シミュレーションによりシンチレータ内での中性子とシンチレーション物質との相互作用確率や即発ガンマ線の発光量を元にしたGAGGシンチレータの応答を中性子エネルギーとシンチレータの大きさなどを変化させることにより調査することで1MeV以下の比較的低エネルギーの中性子検出に適したGAGGシンチレータの大きさや形状を検討した。その結果、シンチレータが小さすぎると中性子の検出効率が低くなり、大きすぎると検出効率が高くなるものの限界があることがわかった。次に核分裂反応からの即発中性子のエネルギースペクトル測定の際に他の検出器との干渉を避け設置の自由度を向上させるための検出器全体の小型化と輸送や取り扱いの容易さを確保することを目指して、光電子増倍管の代わりにMPPCのようなフォトンカウンティングに使用されるシリコンフォトダイオードを使用してシンチレータの発光信号をパルス信号に変換することを検討した。その結果GAGGシンチレータからの光をシリコンフォトダイオードに適切に導くことが重要であることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
シミュレーションにより1MeV以下の比較的低エネルギーの中性子測定に適したGAGGシンチレータの大きさの評価とシリコンフォトダイオードを使用したシンチレータの発光量をパルス信号に変化する部分の作成に時間を要することがわかったため。
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今後の研究の推進方策 |
シミレーションの手法を工夫することでGAGGシンチレータの中性子に対する応答計算を効率化する。またCf-252中性子源からの中性子を減速材などを活用して比較的低エネルギーの中性子に対するGAGGシンチレータの応答特性の測定を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
シミュレーションによりGAGGシンチレータの大きさを決定した上で購入を計画していたが、想定以上にGAGGシンチレータの応答の評価に時間を要することがわかったため、次年度使用額が生じた。2022年度にシミュレーションを継続してGAGGシンチレータを購入し実験的な評価を行う計画である。
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