研究課題/領域番号 |
20K05387
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研究機関 | 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構 |
研究代表者 |
青柳 登 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 原子力科学研究所 先端基礎研究センター, 研究副主幹 (80446400)
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研究分担者 |
元川 竜平 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 原子力科学研究所 物質科学研究センター, 研究主幹 (50414579)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | コロイド物理 / 階層構造 / 小角散乱 / 界面現象 / Sogami-Ise理論 / アルダー転移 |
研究実績の概要 |
3年に亘る研究計画の最終年度(R4)は、セリアコロイドの階層構造を界面における相互作用に注目し、構造論的なアプローチで実験計測を進めるとともに温度や溶質濃度の増減に伴って起こる相変化観察及び物性測定(濁度、電気伝導度及び粘弾性)を行った。具体的には、中性子小角散乱によって粒子表面近傍のプロトンの秩序構造を推定しておき、これまでに(R2~R3年度)取得したX線小角散乱の結果と比較した。X線のデータ解析から得られる金属クラスターの形状及び回転半径及び中性子のデータ解析から得られる界面に存在するカウンターイオンの濃度ゆらぎの分布を照らし合わせて考えることで、金属クラスターが1次構造、2次構造と高次構造化する過程で表面に大きな粗さをもたらすことが実験結果から確認できた。 このとき粒子を剛体球と仮定すると、凝集によるコロイド相変化はAlder転移であり、構造変化は諸物性の変化を引き起こすと考えられる。我々の実験結果では、0.1 M硝酸中における臨界凝集濃度は、CACを約54 mMと評価した。この濃度よりも大きくなると1次粒子が単分散し、小さくなると2次粒子としての凝集が促進されることが明らかになった。さらに、2次粒子は液体表面で構造色を呈することが分かった。この原因として、静電相互作用による斥力ポテンシャルとファンデルワールス力による引力ポテンシャルが拮抗する古典的DLVO理論及び対Gポテンシャルに基づくSogami-Ise理論の比較を行い諸物性の変化を記述することを試みた。結果として、レオロジー特性は明確な傾向を示さなかった。これは、凝集構造の粒子表面が粗さを有し、高い電荷数を有する非対称電解質(4-1)で構成される粒子においてデバイの遮蔽長と粒子径が競合する条件下であるために、既存の理論の適用範囲から外れることを示していると考えられる。
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