研究課題/領域番号 |
20K05388
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研究機関 | 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構 |
研究代表者 |
日下 良二 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 原子力科学研究所 原子力基礎工学研究センター, 研究職 (30733125)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 放射性物質 / 顕微分光法 / 表面・界面 / 吸着 / 移動 |
研究実績の概要 |
コンクリートや土壌等の固体表面に吸着した放射性物質の移動性について明らかにすることは、放射性物質の拡散リスク低減法や除染法の確立などにとって重要になると考えられる。これまでに放射性物質の移動性に関する実験研究が行われてはいるが、放射性物質の移動性と放射性物質の固体表面における吸着状態の関係については分かっていないことが多い状況にある。その理由の一つとして放射性物質の移動挙動を調べる実験は大掛かりになりがちで長い年月がかかるなど実験の難易度が比較的高くなることが挙げられる。そこで本研究では、顕微蛍光分光法など、微小の空間領域において放射性物質を高感度に観測できる方法を用いることによって、微少量の放射性物質を溶かした溶液を固体表面上に滴下して固体表面上に広がった放射性物質の広がり移動性を比較的容易に調べると同時に、その固体表面に吸着した化学状態を明らかにすることとした。本年度は顕微蛍光分光法を用いて薄層シリカゲルプレート上にウラニルイオンとユウロピウムイオンを溶かした水溶液を滴下した結果、ウラニルイオンが優先的に吸着する結果としてユウロピウムイオンは周りへ広がりやすくなる現象を観測した。今後は蛍光寿命などを観測することによって吸着状態を明らかにすることや、他の放射性物質や固体表面に実験研究を展開する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定通り顕微蛍光分光法を用いることによって放射性物質の固体表面上における広がり移動性に関する実験とその結果の解釈に成功したため、おおむね順調に進展していると評価した。
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今後の研究の推進方策 |
蛍光寿命測定を行うことにより固体表面への吸着種の吸着状態の評価を行い、放射性物質の移動性と吸着状態の関係を明らかにする。具体的には、固体表面として、シリカ、アルミナ、セメントなど、吸着種としては、ウラン、アメリシウム、ユウロピウムおよびその他ランタノイドなどを対象とする。さらに同様の試料に対する顕微ラマン分光による実験研究の可能性を模索する。
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次年度使用額が生じた理由 |
令和2年度においては、新型コロナウイルス感染症感染拡大の影響を受け、予定していた出張の取り止め等が発生したため、次年度使用額が生じた。次年度使用額は令和3年度分経費と合わせて、実験に係る物品購入等の費用として使用する。
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