研究課題
深刻度を増す地球温暖化に対して, CO2を回収して地中に貯留するCCSは緊急避難的かつ即効性のある現実的な対策として認識されているが,CO2挙動予測計算の基になる地下地質モデルの不確実性がリスクとして指摘されてきた。これに対して,本研究では,貯留層の地質不均質性がCO2の挙動を阻害していることに注目し,地質情報の数値モデル化を推進すべく,大規模な露頭をアナログとして地層の枠組み(空間分布)を把握して,露頭から得られる地質学的情報を堆積盆規模で数値モデル化することを研究目的とした。秋田県男鹿半島に露出する北浦層の地層を陸上アナログとして,地質学的調査を実施した結果,本層はDistributary Channel~Proximal Lobeに堆積する高密度堆積物重力流を種とする砂岩シルト岩互層であることが明らかとされた。また,砂岩相より全456個の岩石試料を採取し,粒度分析による淘汰度(分級度)を測定した結果,塊状砂岩相が最も淘汰度が良好で,岩石の色相と淘汰度に相関があることが明らかとなった。砂岩の淘汰と砂岩貯留岩性状には密接な関連があり,不淘汰な砂岩相は貯留岩性状を下げる要因であることも示唆された。また,大規模露頭であることから,肉眼での観察が不可能な箇所においてドローンによる露頭の近接撮像を実施し,砂岩シルト岩互層の画像を取得した。この露頭画像にたいしてランダムサンプリングを用いてデータ数を拡張したうえで,CNNおよびViTを検討し,CNNが優位性を示すことを明らかとした。なかでもCNNではDLv3にK-NETを使用した手法が良好であった。さらには,GANに基づく生成モデルの一つであるOASISを用いた画像生成によってデータセット拡張に対する評価を行った結果,本拡張作業は画像解析に対して精度向上に寄与することが明らかとなった。
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Applied Sciences
巻: 12 ページ: 7785
10.3390/app12157785