研究課題/領域番号 |
20K05402
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
松本 光央 九州大学, 工学研究院, 助教 (60842060)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 貯留層シミュレーション / 圧力遷移試験 / トレーサー試験 |
研究実績の概要 |
当該年度前半は、計画していた室内実験に取り組み、当研究課題の中心的なアイディアとなる現象の実現可能性を実証することに成功した。すなわち、不均質性が高い空隙分布の地下流体の流動に伴う圧力変化とトレーサー(試薬)濃度の変化が、見掛け上異なる空隙率に従うとするアイディアを、従来の実フィールドでの考察とモデル計算(計算機シミュレーション)に加え、初めて室内実験で検証した。併せて、ミクロ(研究室)スケールでのシミュレーションでも、実験結果の再現に成功した。この結果とそれをサポートするモデル計算を併せた成果を、日本地熱学会令和4年東京大会にて発表した。現在、同内容に関する論文の投稿準備中である。 当該年度後半は、計画していたシミュレータの開発に取り組んだ。当初の見通しとしては、実験結果から得られた数学モデルを、従来一般的な地熱フィールドを対象とする貯留層シミュレータに組み込むことを想定していた。しかし、比較的実績は少ないが当研究課題のアイディアをより直接的に表現可能なDiscrete Fracture Networkモデルをベースとするシミュレータを開発することとした。これにより、解釈や近似等を含むことなく、実フィールドのデータを直接的にシミュレータで扱うことが可能となり、より直接的・客観的な検討が可能となると期待される。当該シミュレータの基本部分は既に完成しており、今後は様々な条件下での動作検証を行う予定である。 また想定外の展開として、当研究課題の当初の主眼は、既発見の地下流体の挙動のモデリング手法の開発を通じて、その理解を深めようとするものであったが、それを発展させる形で、未発見の地下流体の貯留構造の探査にも活用できる可能性を着想した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画していた室内実験とシミュレータの開発に取り組み、概ね期待通りの成果を得ることができた。初年度開始当初からの新型コロナウィルス感染拡大に伴う学内業務への対応により研究への着手が半年以上遅れたが、今般研究期間の延長をご承認頂いたことから、延長後の最終年度までには所期の成果を得られる見通しである。
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今後の研究の推進方策 |
開発中のシミュレータの検証が完了次第、実フィールドの圧力変化とトレーサー(試薬)濃度の変化のデータを利用したフィールドスケールでの検証に取り組む。データは従来一般的な手法で測定されたものを利用可能であることから、過去に公表されたデータを利用する。
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次年度使用額が生じた理由 |
初年度開始当初からの新型コロナウィルス感染拡大に伴う学内業務への対応により研究への着手が半年以上遅れ、研究成果の取りまとめと論文投稿までの時間を十分に確保できなかった。今般研究期間の延長をご承認頂いたことから、次年度使用額は現在投稿準備中の論文原稿の英文校正等の投稿費用、取得データ保管用のストレージ等の物品費等に充てる。
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