研究課題/領域番号 |
20K05403
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
有馬 博史 佐賀大学, 海洋エネルギー研究センター, 准教授 (90346875)
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研究分担者 |
小山 幸平 東京工業高等専門学校, 機械工学科, 准教授 (40597845)
荒巻 森一朗 西日本工業大学, 工学部, 教授 (50274535)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | プレート式熱交換器 / 可視化 / 蒸発 / アンモニア / FC-72 / 海洋温度差発電 / 機械学習 |
研究実績の概要 |
本研究はオーガニックランキンサイクル (ORC) を用いた小温度差発電用のプレート式蒸発器における熱効率をさらに向上させることを主たる研究目的とし、核沸騰様相の詳細な解析を行うために最適かつ可視化可能な測定方法を新た考案し、作動流体の沸騰現象について解析すること、さらに直接的可視化で観察される沸騰様相は、非常に複雑な挙動を示すため、その画像解析に対してAI(機械学習)を導入し、気液領域を高速で判別可能な新規画像解析法の確立を目指したものである。 2020年度は、直接式可視化用テストセクションの設計、製作、試運転を行なった。その後、2021年度に予定の直接式可視化用テストセクションを用いた実験を前倒しで行った。また実験では作動流体を予定のアンモニアからFC-72に置き換えて、装置の動特性の確認を含めた可視化実験を行った。 実験では、テストセクションに、作動流体系と温水系の配管を接続して実験装置を構成した。テストセクションには作動流体としてFC-72、熱源として温水を流すことで熱交換を行い、FC-72を強制対流沸騰させる。この状態を可視化窓から高速度カメラで観察した。同時に、熱交換器の熱通過率についても測定を行った。また、テストセクションの伝熱プレートとしてアルミニウム製の平滑面と市販の伝熱プレート形状を模したヘリンボーン型プレートを導入し、それぞれの沸騰様相と熱通過率について比較を行った。 また、2020年度計画の可視化画像のAIを用いた解析用プログラムの開発については、可視化画像から気泡を解析するプログラムに機械学習を導入したプログラムを新たに開発し、実験で得られた画像からの気泡の自動抽出と、沸騰特性の定量化に必要なボイド率の自動算出が行えるようになった。なお、精度が目標とするものに達していないため、2021年度は精度の向上とプログラムの最適化を目標とする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は、研究計画を概ね実行することができた。まず、「研究実績の概要」に前述したように、2020年度予定の直接式可視化用テストセクションの設計、製作、試運転を行い、また、同時進行で可視化画像のAIを用いた解析用プログラムの開発も行った。 さらに、直接式可視化用テストセクションに関する実験については、2年目の2021年度の計画として予定していた可視化実験を前倒して行えた。一方、解析用プログラムについては、解析精度が目標に達していないが、ほぼ順調に進んでいると考えている。 以上のことより、「概ね順調に進んでいる」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度は、直接式可視化用テストセクションを用いた可視化実験をアンモニアを用いて行う。2020年度に引き続き沸騰様相の観察および熱伝達率分布の測定を実施する。また、間接式可視化用テストセクションの設計、製作、試運転も同時並行して行う。 また、2020年度に開発の機械学習を導入した気泡解析プログラムの精度の向上を目指したプログラムの改良を行う。それを用いて可視化画像の解析を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
理由:2020年度に製作予定であった、アンモニアを作動流体として用いる場合の配管と熱交換器補器の設置が間に合わず、配管設置の予算として保留した。なお、現在の配管はFC-72仕様であるため、そのままでは腐食性が強くかつシステム圧力が高いアンモニアに対応できない。 使用計画:2021年度にアンモニア配管との熱交換器補器の設置を行う予定であるが、その製作費の一部として使用する。
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