研究課題/領域番号 |
20K05405
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研究機関 | 埼玉工業大学 |
研究代表者 |
本郷 照久 埼玉工業大学, 工学部, 准教授 (50434303)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | アスベスト / 石綿 / クリソタイル / 再資源化 / タルク / 抽出 |
研究実績の概要 |
アスベストが使用された建築物の解体により、廃アスベストが大量に発生している。本研究では廃アスベストの再資源化システムの構築を目指し、廃アスベストからの高機能性材料の新規合成プロセスの開発を行う。 アスベストに分類される鉱物は複数種あるが、使用されたアスベストの大部分はクリソタイルである。クリソタイルは1:1型の粘土鉱物であり、その理想化学式はMg3Si2O5(OH)4と表される。一方で、2:1型の粘土鉱物であるタルクの理想化学式はMg3Si4O10(OH)2と表され、クリソタイルと似た化学組成を有している。本研究では、実験の安全性を考慮し、タルクをクリソタイルの模擬試料として用いることとした。 本研究で用いるタルクの組成分析を行ったところ、Mg/Si比は0.64であり理想的な組成よりもMgが少ない試料であることが分かった。また、電子顕微鏡観察により粒径は15~25μmの間に分布していることが分かった。 本年度は、タルクに含まれるMgとSiを分離する方法・条件について検討した。Mgを酸によって抽出する方法を検討したところ、酸濃度を上げてもMg抽出率はほとんど変化せず、10%程度であった。そこで、酸抽出時に加熱処理や水熱処理を施したところ、それぞれ17%と32%までMg抽出率は向上した。次に、メカノケミカル処理を施したタルクを用いてMgの酸抽出を行った。その結果、室温(25℃)でもMg抽出率は80%を超え、80℃に加熱すると97%まで増加することが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症による入構制限のため。
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今後の研究の推進方策 |
抽出したMgを用いて機能性材料の合成プロセス開発を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍による実験の遅れと出張の取りやめにより、次年度使用額が生じた。 今年度に実施できなかった実験・出張は翌年度以降に実施する予定である。生じた次年度使用額は、これらに充てる予定である。
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