研究課題/領域番号 |
20K05406
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研究機関 | 千葉工業大学 |
研究代表者 |
亀谷 雄樹 千葉工業大学, 工学部, 准教授 (50734422)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 太陽エネルギー / 親疎水ハイブリッドパターン / 放射冷却 |
研究実績の概要 |
本研究では、持続可能なエネルギーと水資源の利用システム構築へ向け、太陽熱をエネルギー源とした蒸留システムの高性能化を達成すべく、蒸気を凝縮させるコンデンサ凝縮面とその背面の放熱面において、熱・物質輸送が進行する界面現象の制御を目的としている。研究初年度となる本年度は、凝縮面・放熱面のそれぞれに関して製作プロセスを構築し、各表面において期待される界面機能の基礎的な特性を評価した。 凝縮面については、サンドブラスト加工と自己組織化単分子膜形成により、銅板上に親疎水ハイブリッドパターンを実現することができた。様々なサイズで試料の作製を試みた結果、この手法により形成することが可能なパターンのサイズを明らかにすることができた。作製した試料を用いて凝縮形態の観察を実施し、形成された親疎水ハイブリッドパターンに従い滴状凝縮と排水が進行する様子を確認することができた。 放熱面については、銅板表面を鏡面加工した後に銀の反射層を形成することで可視光の高い反射率を確保し、さらに大気の窓において高い放射率を有する透明高分子素材を塗布することにより、放射冷却機能を持たせた試料を作製した。作製した試料の表面で測定された可視光域での反射率スペクトルにおいて、意図した性質が実現されていることを確認することができた。 次年度に計画していた凝縮実験装置の一部について設計・製作へ前倒しして着手し、次年度の研究が迅速に進捗するよう準備を整えることができた。また、銅板表面上での液体輸送を促進する技術についての検討作業も追加して実施し、今後さらに多くの研究成果が得られるよう取組むことができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実験試料の作製を要素ごとに並行して実施することにより、当初計画していた実験の準備を順調に進めることができている。なお、直接経費の前倒し支払請求を行い、次年度に計画していた実験装置製作に関わる作業の一部を前倒しして実施した。
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今後の研究の推進方策 |
本研究で試作する実験試料/装置に関して、今後は要素試験と全体性能試験が共に必要となるため、可能な限り並行して複数の実験作業を進めることにより確実な研究の進捗を確保する。さらに、各要素試験から独立して得られるデータを理論的に総括することにより、全体性能試験から得られる結果の理解を深め、最終的に有益な研究成果としてまとめることができるよう努める。
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次年度使用額が生じた理由 |
前倒し支払請求により一部の実験装置部品についての購入を進めたが、その残額により次年度使用額が生じた。次年度に引き続き実施される実験装置部品の購入等で使用する計画である。
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