本研究では、近接場光が誘起する光化学反応の機構解明を目指して、双極子近似を超えた理論手法の開発を行い、伝搬光と近接場光での励起状態の違い、また光STMを用いた際の近接場光励起の選択則を明らかにした。さらにクラスターモデルを用いて金属基板と分子の相互作用を考慮して励起状態を調べた結果、担持分子の励起状態が金属との相互作用によって分布を持つことと、高位励起状態は双極子許容だが、低エネルギー領域は双極子禁制な状態が多数存在することを明らかにした。しかし近接場光を用いた遷移確率も調べたが反応機構の完全解明には至らなかったため、今後は、金属モデルの改良などを行っていきたいと考えている。
|